まえがき
排せつするということは、認知症のご高齢者にとってもプライバシーや羞恥心を伴う行為です。トイレであれオムツを使った場合であれ、ご高齢者は排せつの介護をされることにとても抵抗感を持たれます。
ですが、認知症の症状があらわれたご高齢者の中には、尿意や便意を感じることが鈍くなってしまったり、いざ、トイレに行こうとしても、トイレの場所がわからなくなっていたり、トイレに行くことはできても1人では排せつができなくなっていたり・・・。
このような認知症の症状によって、1人でトイレに行って排せつをすることが難しくなり、さらに介護もされるようになると、ご家族や介護者さんがトイレに誘っても「行きたくない」「まだ大丈夫」などとトイレへの介護を拒否するようになる場合があります。
この介護拒否にもさまざまなものがありますが、トイレに行くように声をかけても「行きたくない」と言われたり、一生懸命になだめてやっとトイレに連れていったのに、下着を下げようとしたら「やめてくれ」と手で払いのけられたり・・・。このようなことが続くと介護しているご家族や介護者にとって大きな負担となりストレスにもなります。
しかし、拒否をされたから、抵抗されたから。このような理由だけで、トイレへの介護をしないわけにはいきません。
トイレでの排せつは、日々生活するうえで欠かせない行為であり、その人の健康の目印にもなる、とても大事な行為です。
そこで、今回は、認知症のご高齢者にトイレへの介護を拒否されないためにはどのような対応をすればよいのか、また拒否をされないためにはどのようなことに注意をすればよいのか、事例なども交えながら解説してみようと思います。
認知症高齢者はなぜトイレ拒否をするのか?
なぜ、ご高齢者が認知症を発症すると、トイレに行くことや、トイレで排せつするよう促されるのを拒否するようになるのでしょう。
高齢によることや認知症によって、最近、尿意や便意が鈍くなり、排せつに間に合わなくなってきた。まれにトイレや衣類を汚してしまうこともあるようになった。その姿を見た家族が、時間ごとに「トイレに行きましょう」などと声をかけてくるのが実は煩わしい・・・。
今のところなんとかトイレまでは1人で行けるから、尿意や便意を感じればトイレに行くのだが、その都度、近くにいる家族が「手伝わなくても大丈夫」といちいち確かめてくるので、つい逆らってしまう・・・。
これはほんの一例ですが、ご高齢者がトイレへ行くことやトイレで介護をされることを拒否するには様々な原因や、ご本人なりの理由があります。
そこで、ここからは、認知症のご高齢者がトイレを拒否する原因や理由、そして、拒否された際に行ってほしい適切な対応方法などについて解説してみようと思います。
トイレで失敗するところを見られたくないから
認知症のご高齢者の中には、尿意や便意が鈍くなり、また、尿意などを感じてからトイレに行くまでの動作に時間がかかるなどで、トイレに行く前に衣類や下着を汚してしまったり、トイレに入った時にはすでに失禁してしまっている場合があります。
このように、トイレに行く前に失禁してしまうことが続くと、ご高齢者の中には、トイレに行くように声をかけられても「汚れた下着を見られたくない」「またトイレに間に合わなかったら・・・」などを家族に知られたくない、家族に見られたくないなどの理由からトイレへの介護を拒否する場合があります。
トイレで失敗を見られたくないと介護拒否されたときの対応
「汚れた下着を見られたくない」「トイレで汚すところを見れらたくない」などの羞恥心から、トイレで介護をされることを拒否されるご高齢者に対しては、まず、汚れたことや、失禁したことを、相手に確かめたり注意したりすることは決してしないでください。
そして、下着が汚れていたら「今、新しい下着を持ってきます」トイレに行った時にはすでに失禁していたら「換えのズボンを持ってきます」と必要最低限のことだけ伝えて、着替えなどの介助以外は、なるべく本人の視界から外れるように配慮してあげてください。
このような「失禁していることを見られたくない」「汚れた下着をみられたくない」などが原因でトイレの介護を拒否される方には、相手の羞恥心に配慮した対応がとても大事になります。
トイレの場所がわからないから
認知症の症状の1つに、見当識障害(けんとうしきしょうがい)というものがあります。
この見当識障害という症状は、今、自分が置かれている場所や、時間などの状況を認識したり判断する見当識という能力が低下することで起こる認知症の症状です。
ご高齢者が認知症を発症し、この見当識障害という症状があらわれると、自分の家のトイレの場所がわからなくなったり、自分がいつトイレに行ったのか、行った時の時間の記憶が低下し、自分の家のトイレに1人で行くことが難しくなります。
※見当識障害(けんとうしきしょうがい)とは
「引用元:看護のお仕事 ハテナース」
この見当識障害によって、自分の家のトイレの場所がわからなくなると、尿意や便意があって、トイレに行きたいのに場所がわからず混乱したり、人によってはパニックを起こす方もいます。
このような状態の時、ご家族や介護者さんから「そろそろトイレに行きましょうか」などと声をかけられると、ご本人は「自分がわからないトイレの場所をなんでこの人は知っているのだろう」「どこへ連れていかれるのだろう」と混乱したり、不安になったりして、トイレへ行くことを拒否したりします。
トイレの場所がわからないご高齢者に介護拒否されたときの対応
見当識障害によって、トイレや自分の部屋など、自分の家にいながら場所がわからなくなったり、その場所へ1人で行けなくなることは、認知症のご高齢者によく見られる症状です。
では、先ほどお伝えしたように、この見当識障害があらわれたご高齢者をトイレに誘導しようとすると、なぜ、トイレを拒否する場合があるのか、その理由は、認知症の症状によって、トイレまでの道のりやトイレの場所を忘れてしまったご高齢者を混乱させてしまうかもしれないからです。
ご高齢者はトイレへ行くための手順をすっかり忘れていて、トイレの場所も忘れています。しかし、トイレには行きたい。トイレに行きたいのに行き方も場所もわからずに困っています。このようなときご高齢者がどのような心理状態にあるでしょうか。
それは、トイレに行きたいのに1人では行けないから、誰か優しく教えてくれる人にトイレまでの行きかたを教えてほしいのです。
連れてってくれとは思っていません。あくまで自分でトイレに行きたいけど、行くための手順や場所を忘れてしまったから、誰かに教えてほしいと思っているのです。
ですからこのようなときには「トイレに行くのならお手伝いしましょうか」「私も今、トイレに行くから一緒に行きましょうか」「トイレの先の台所に行くところなので一緒に行きましょうか」などと、さりげなく相手をトイレまで連れて行けるような声掛けを試みてください。
相手は場所がわからなくて困っている。しかし、なんとか自分でトイレに行きたいのです。そして、その方法がわからずに困っているということを理解してあげてください。
これは、トイレの場所がわからなくなった認知症のご高齢者をトイレまで誘導する対応方法の基本でもあります。
声をかけられたときトイレのタイミングがずれていた
ご高齢者の認知症の症状が進んでくると、尿意や便意が鈍くなったり、感じていてもそれを尿意などと判断できなくなったりして、トイレに間に合わずに、衣類や下着を汚したりすることが多くなります。
このようなことが多くなってくると、ご家族や介護者さんが、時間を見計らったり、ご本人に尿意や便意を確かめて、トイレまで連れて行くなどをしないと、その場で衣類や下着を汚してしまったり、トイレまで行っても失敗するようになってしまいます。
ですが、トイレに間に合わないと下着や衣類を汚してしまうし、本人は自分ではトイレに行きたがらないので、早めにトイレに連れて行こうとして、「そろそろトイレに行きませんか」と声をかけてみたら「まだ大丈夫」「さっき行ったばかりだから」このようなやりとりが何度か続くと、人によっては「しつこい」「うるさい」などとトイレに行くことに対して拒否反応を示すようになる場合もあります。
これは、本人の尿意や便意と、介護者さんのトイレに誘導しようとするタイミングがずれることによっておこります。
そして、このようなことは、ご高齢者がトイレを促されたときに拒否をする場面では多くみられます。
トイレのタイミングがずれていて介護拒否をされた時の対応
まだ、尿意も便意も感じていないのに、失禁されないようにと、早めにトイレに連れて行くのはかえって逆効果です。
本人はまだトイレに行きたいと思っていないのに「そろそろトイレに行っておいた方が・・・。」などと言われ、しぶしぶトイレに行ってみても、尿意も便意も無いので「まだ行きたくなかったのに・・・。」とただ不愉快な思いをさせるだけになってしまいます。
これは、子育て経験がある女性であれば納得していただけると思いますが、赤ん坊の授乳の時間だったら「〇時にあげたから、次は〇時間後」オムツだったら「さっき換えたばかりだから、〇時間は大丈夫」のように、対応しなければならない時間を、絶えず時系列で把握し、授乳やオムツ交換のタイミングを間違わないようにしていると思います。
認知症のご高齢者をトイレに連れて行くのも同じです。トイレに行った時間を、簡単でもよいのでメモに残しておいたり、カレンダーの今日の日付の余白にでも「今日は〇時にトイレ」などとメモ書きしておくと、次に声をかける際に「昨日は何時ごろにトイレに連れて行ったかな・・・。」と迷うことを防げます。
また、連れていく時間をメモに残しておくことで「次は〇時に声をかければ大丈夫」と、不要に本人に声をかけることもなくなり、本人がまだ、尿意や便意を感じていないときなどに、無駄にトイレに連れていくことを防ぐことにもつながります。
自分のトイレを見られるのが恥ずかしいから
認知症によって、記憶が曖昧になってきたり、もの忘れが進んできたとしても、ご高齢者の羞恥心はいつまでも残っています。
ご自分でトイレに行くことができないご高齢者の中には、オムツで排せつをされる方もいますが、オムツで排せつされる方の大多数は、オムツが汚れてもご自分で交換することができないので、自分以外のご家族などにオムツを変えてもらわなければなりません。
これはトイレであっても同じです。
トイレに間に合わず、汚れてしまった下着を脱がされたり、尿や便のついた臀部を拭いてもらったり、このような羞恥心が伴う、排せつの行為を他者にゆだねるというのは、認知症のご高齢者であっても嫌なものです。
このようなトイレでの介護が日常化してくると、ご高齢者の中には、自分のプライバシーや羞恥心が軽視されたと悲観し、やがてトイレでの介護を拒否するようなる場合があります。
トイレを見られるのが嫌で介護拒否されたときの対応
認知症のご高齢者であっても、自分が1人でトイレで排せつできないことや排せつに失敗してしまうことを、できることなら人には知られたくないと思っています。ですから声をかける時は、できるだけ本人に近づいて小さな声で、介護される方とご本人以外にはトイレに行くことを知られないようにするように配慮することも大事です。
また、声をかける時も「そろそろトイレに行きましょう」「トイレは大丈夫ですか」などと、あからさまに声をかけるのではなく、食事の前後や、お茶の時間のついでに誘うように、さりげなく声をかえてあげてください。
ご本人は、自分が1人でトイレで排せつができないことを恥ずかしいと思っていることを十分に理解してあげたうえで、声をかけたり、トイレに誘導することが、トイレの介護を拒否するご高齢者への対応では最も大切なことです。
トイレに行くことが怖いから
認知症のご高齢者がトイレに行くことを拒否する原因の1つに「トイレに行くことが怖いから」というものがあります。
トイレを怖いと思ってしまう原因にはさまざまなものがありますが、代表的な原因として、認知症の症状の1つである幻視(げんし)という症状が深くかかわっていることがあります。
※幻視(げんし)とは
「引用元:ドクターUの精神医学用語辞典」
この幻視(げんし)という症状は、認知症を発症されたご高齢者に見られる症状の1つで、私たちには見えないものを「あそこに何かいる」と訴えたり「天井に蛇がいる」などと、実際には実際しない、ありもしないものが見えると訴える症状です。
ありもしないのに見えると訴える対象物は様々で「部屋の天井に蛇がいる」と言ったり「庭に小人がたくさんいてこちらを覗いている」さらに「田舎のおばあちゃんが昨日泊っていった」などと、すでに亡くなっている人の名前を言って「昨日遊びに来た」などと意味不明のことを訴える場合もあります。
認知症のご高齢者にこの症状があらわれると、トイレに連れて行ったときに「壁になにかいる」「天井になにかいる」などとありもしない物が見えると訴えたりして、トイレという場所を怖い場所と思う様になり、トイレでの排せつを拒否する場合があります。
トイレに行くのが怖いと介護拒否されたときの対応
このような、幻視(げんし)という認知症の症状によって、トイレという場所を怖い場所と思う様になり、トイレで排せつすることを拒否するようになってしまったご高齢者に対しては、まずトイレという場所を、少しでも「怖い場所ではない」と思ってもらう工夫が大切です。
そして、トイレに連れて行ったとき、ご本人が「怖い」と訴えたら、ご家族や介護者さんは一度とトイレの壁や天井を見てみてください。
天井や壁紙に、細長い模様などはありませんか?トイレの洗面台に鏡はついていませんか?
天井や壁に細長い模様などがあると、それを「蛇がいる」「ムカデがいる」と訴える場合があります。また、鏡に映る自分の姿を他人と間違って「トイレの中に知らない人がいる」などと訴える場合もありますので、もしも鏡があって、外せるのなら症状がおさまるまでのあいだ、外してみてください。
また、壁紙や天井の模様を変えるのは大変でしょうから、トイレの中に本人が好きな絵を飾ったり、好きな色で壁に模様を描いてあげるなどで、怖いものに見えてしまうものから気をそらすような工夫をしてみてください。
そして、ここまでいろいろと対応してみても、あまり症状がおさまる様子が無かったら、一度、認知症の専門医に受診してみてください。
※このホームページで自宅近くの認知症の専門医が探せます。
「引用元:公益社団法人 認知症の人と家族の会」
天井に蛇が見えると言ってみたり、ありもしないことが見えるという症状が強くあらわれる認知症の1つにレビー小体型認知症という認知症があります。
※レビー小体型認知症という認知症について詳しく解説している記事をご紹介します。
幻視のような症状だと思っていたが、調べてみたら別の認知症の症状だった。このようなこともありますので、もしも症状が収まる様子が無いようであれば、専門医に相談してみてください。
認知症の専門医に診断を受けて、内服を処方されたりなどの適切な治療を受けることで症状がおさまる場合もあります。
トイレの拒否に対応する際の3つの重要ポイント
ここまで、認知症のご高齢者がトイレに行くことやトイレで排せつすること、トイレの介護を拒否される原因やその対応方法などについて解説してきました。
トイレへの拒否や原因にはさまざまなものがあることもお伝えしてきましたが、認知症のご高齢者に限らず、誰でも、トイレで排せつが上手くできないことや、排せつに失敗している姿を、いつも一緒に生活しているご家族や介護者さんに見られたくないと思います。
認知症によるものとはいえ、自分1人ではトイレでうまく排せつができなくなり、家族にトイレに連れられて行き、そこで家族に介護をしてもらいながら家族の見守りの中で排せつをする。いくら一緒に暮らしているご家族とはいえ、ご本人のプライドは傷つくかもしれませんし、当然ですが羞恥心もあると思います。
このように、トイレの介護をされているとき、ご本人はどんな気持ちなのか、本当は何を求めているのか、介護者は何をするべきなのか、トイレでの排せつはデリケートな介護であるがゆえに、このような相手への配慮はとても大切なことです。
では、ここからは、トイレを拒否されたとき、ご家族や介護者さんが対応する際にぜひ知っておいてほしい、トイレの拒否に接する際の心構えと、対応する際に重要な3つのポイントについて解説してみようと思います。
トイレ拒否では相手の気持ちを尊重する
認知症を発症しているご高齢者であっても、自尊心や羞恥心はしっかりと残っています。
ですから、いくらこちらが声をかけてトイレまで時間ごとに誘導しないと、いつ失禁してしまうかわからない状態であったとしても「1人ではトイレで排せつできない人」のように子供を扱うような態度を見せたりしないでください。
「そろそろトイレに行っておきましょうか」などと、1人ではトイレに行って排せつができない人のように扱うと「自分でできる」とかえって拒否が強くなる場合もあります。
排せつという羞恥心を伴う行為を人に任せなければいけないのですから、その方の心の奥は「情けない・・・。」「恥ずかしい」という気持ちでいっぱいかもしれません。
本当は自分で排せつをしたいけどできない理由もわからない。尿意も便意も鈍くなっていて、トイレに行きたいと思ってもとっさに体が動いてくれない。仕方なく人に手伝ってもらっている。この気持ちを理解し、相手の気持ちを尊重してあげることが大事です。
トイレ拒否では相手の都合を優先する
一緒に生活しているご高齢者に失禁が続くようになると、ご家族は「また汚れ物を洗わなくてはいけない」「さっき、連れて行ったばかりなのに」などと、つい介護している側の都合を考えてしまいますが、このような態度は、自分では気が付いていなくても、介護をしているときに表れてしまいます。
「まだ、トイレは大丈夫ですか」「ズボンは汚れてませんか」などと、こちらの都合を優先した態度は、介護をされているご高齢者にもしっかりと伝わります。
このような態度に、介護をされているご高齢者は敏感に反応します。そして「本当は自分で何とかしたいけど、仕方がなく世話をしてもらっているのに・・・。」と相手の自尊心を傷つけてしまう場合もあり、かえって拒否が強くなる場合もあります。
失禁をしてしまったり、トイレに行っても、うまくズボンを下げられないなど、ご高齢者は私たち健常者の思うようには身体が動いてくれません。
こちらの思うように動いてくれないことにイライラすることもあるかもしれませんが、こちらの都合を優先した介護は相手に不愉快な思いをさせたり自尊心を傷つけることにもなり、それがかえってトイレの介護を拒否する原因となる場合もありますので、トイレの介護に拒否をするご高齢者に対応する際にはできるだけ、相手の都合を考えてあげて、相手の自尊心を尊重し、ゆったりと接してあげることが大事です。
トイレ拒否では信頼関係が大事
トイレの世話をしてもらうことは「恥ずかしいこと」と誰でも思うでしょう。
これは、もの忘れがすすんで、今日の日付や時間がわからなかったり、自分の家のトイレの場所もわからなくなっている認知症のご高齢者であっても同じです。
誰かに手伝ってもらわなければトイレでうまく排せつができないけど、本音では「本当は人の世話になりたくない。」「何度もトイレに行くように声をかけられるのは嫌だ」と思っているかもしれません。そして、トイレの介護をされていることに対して、口には出さなくても、介護をされるたびに羞恥心を感じているかもしれません。
ですから、お世話をされるご家族や介護者さんは「もし、自分が1人でトイレに行けない高齢者だったら・・・。」と相手の立場になって接することがとても大事です。
介護される方は、自分のお世話をする人がどのような人かを絶えず観察しています。この人に自分の世話を任せても大丈夫なのか。この人はいい人なのか、嫌な人なのか。信頼に足りる人なのか絶えず観察しています。
誰でも、自分の世話を頼むのであれば、信頼できる人に任せたいと思うでしょう。これは認知症のご高齢者も同じです。そして、介護する側とされる側に、このような信頼関係が成り立つと、自然と拒否も少なくなります。
トイレ拒否への対応についてまとめます
認知症のご高齢者がトイレの介護を拒否する原因や理由にはさまざまなものがありますが、ここでもう一度、トイレの介護を拒否される認知症のご高齢者に接する際の重要なポイントをおさらいしておきます。
トイレの介護を拒否するご高齢者と接する際、介護をされるご家族や、介護者さんにぜひ覚えてほしい重要なポイントは以下の3つです。
ポイント1・相手の気持ちを理解すること
ポイント2・信頼関係を大切にすること
ポイント3・こちらの都合ではなく相手の都合を優先すること
この3つの重要ポイントに共通していることは「相手の気持ちを大事にする」「相手を尊重し、信頼関係を大切にすること」「相手の羞恥心に配慮すること」です。
そして、相手の立場になって「自分がもし、自分1人でトイレに行けなくなって、人にトイレの世話を頼むようになったときどんな気持ちになるだろう・・・。」と自分の立場に置き換えて考えてみることも大事です。
相手の立場に置き換えることで、自分がトイレのお世話をしているご高齢者の気持ちに寄り添い理解できるので、それが、介護をするうえでとても大切な信頼関係が構築できます。
トイレでの介護は、排せつという誰にとってもデリケートな羞恥心に触れる介護です。そして、トイレの介護をされるご高齢者の羞恥心に配慮し、相手の気持ちを理解することは、介護の拒否に対応する際のはとても重要なポイントでもあります。
今回、ここまでお伝えしてきたことが、トイレの介護をされているかた、トイレの介護を拒否されて悩んでいる方にとって少しでもお役にたてれば幸いです。
ここまで読んでくださり、誠にありがとうございました。