徘徊 認知症高齢者

脳の加齢や認知症(シニアの脳)

034 認知症の症状である徘徊の予防や対策、対処法などをご紹介

投稿日:


ご高齢者が認知症を発症すると、さまざまな症状があらわれますが、そのさまざまな症状の1つに徘徊という症状があります。

以前こちらの記事「033 認知症によって徘徊が始まった高齢者の症状と原因を解説します」で、徘徊という症状について、徘徊が起こる原因や症状などについて解説しました。

この徘徊という症状は、ご高齢者が突然、家の外に出て行ってしまい、1人で家に帰れなくなり、行方不明になってしまったり、1人で家の留守番をさせることができなくなったりします。

また、家族や介護者さんが絶えずご高齢者の近くで見守りをしなければならなくなるなど、精神的にも肉体的にも介護をされる方の負担は大きなものとなります。

そこで、今回は、徘徊が実際に起きてしまったときにどのように対応すればよいのか、徘徊を未然に防ぐためにはどのようなことをすればよいのかなど、事例も交えながら解説してみようと思います。

徘徊に対して普段からしておいてほしい予防策をご紹介します

認知症のご高齢者の徘徊はいつ起こるかわかりません。

ご高齢者さんとご家族が別の部屋で寝ているご家庭は、夜間いつ外に出てしまうのか気がかりで落ち着かないことも多いのではないでしょうか。

また、徘徊の症状が起こっている認知症ご高齢者は、日中であっても、いつ外に出て行ってしまうのかわかりません。四六時中ご高齢者さんのそばにいるわけにもいきませんし、介護されるご家族にとっては大きな負担ともなります。

このような、認知症のご高齢者さんの徘徊を未然に防ぐために、ご家庭で普段からしておいてほしい予防策をご紹介します。

服のポケットや靴などに名前と住所などを縫い付けておく

上着やズボンの裾に「名前」「住所」「連絡先(自宅の電話番号)」などを縫い付けておくと、徘徊をして行方不明になったとき、保護してくれた方が連絡をしてくれたり、自宅の近隣であれば警察に連絡してくれて、自宅まで送り届けてもらえる場合もあります。

縫い付けておく場所は、ご本人の目につかないように服の内側等に縫い付けるか、小さな文字で書き込んでもよいでしょう。またご本人から抵抗されないようであれば、名札にして首からぶら下げる習慣を持ってもらうとさらに良いと思います。

トイレや部屋の入口に目印をつけておく

夜中にトイレに行こうとして部屋を出たけれどトイレの場所がわからなくなり、そのまま家の中をウロウロと歩いているうちに玄関の外に出てしまった。夜間にご家族が寝ている時間で、外に出たまま家に帰ることができなくなり、徘徊してしまった。このような些細なことも徘徊の原因ともなります。

トイレや部屋の入り口にはご本人が目印になるようなものをつけてあげて、日々その目印を気にするように習慣にしてあげることも徘徊の予防策になります。それでも夜間の場所がわからなくなることが続くようであれば、簡易型のトイレなどを部屋に置いてあげることも徘徊の予防策になります。

※簡易型のトイレにはこのようなものがあります。
「引用元:パナソニックのエイジフリー」

玄関のドアやベッドなどに徘徊用のセンサーを設置する

ご家族が寝静まった深夜に、ご高齢者が「ベッドから動き出した」「玄関のドアを開けて外に出ようしている」このようなときに、別の部屋にいるご家族に、音声や光でご高齢者が動き出したことを知らせる機器があります。この機器を「認知症徘徊感知機器」と言います。

この感知機器は2つのタイプがあり、1つ目はベッドにセンサーを装着する感知機器です。

ベッド上やベッド横の足元の床にセンサーが入ったマットを設置し、ご高齢者さんがベッドから起き上がった時や、ベッドから離れて床に足を置くと、マットのセンサーが感知し、チャイムや光で別の部屋にいるご家族にご高齢者さんが動き出したことを知らせます。

「引用元:Care愛(在宅向け)【認知症老人徘徊感知機器】の使い方」

2つ目の感知機器は、家の玄関や裏口などの外に出ていけるドアにセンサーを装着するタイプで、ご高齢者さんが玄関のドアの前を横切ったり、ドアを開けようとしたときにセンサーが作動し、別の部屋にいるご家族に、光や音でご高齢者さんが動きだしたことを知らせます。

「引用元:ワイヤレス徘徊お知らせマット(マットタイプHS-W)【認知症老人徘徊感知機器】の使い方」

夜間やご家族が離れた場所にいるときなどに、このような感知機器を設置することで、徘徊を未然に予防することもできます。このような感知機器は介護保険でレンタルをすることもできますので、利用の希望がある際には、ケアマネジャーさんや近隣の福祉器具を扱っている業者などに確認してみるとよいでしょう。

※徘徊感知機器を介護保険でレンタルした際の参考料金
「引用元:ダスキンヘルスレント」

徘徊ですぐに外に出てしまう、出る恐れがある高齢者への対策

ここまでは、認知症のご高齢者さんが、なぜ徘徊をするのか、徘徊をしようとしているときには、介護者さんはどのように対応すればよいのかなどについてご紹介してきました。

では、次は、実際に徘徊でご高齢者さんが外に出てしまい行方が分からなくなったとき、どのような対応をすればよいのか、行方がわからなくなったご高齢者さんを探すためにはどうすればよいのかについて、普段からしておいてほしい対策方法をご紹介します。

近所の交番や地元の警察に事前に相談しておく

認知症のご高齢者が、いつの間にか外に出て行ってしまい行方がわからなくなってしまうときに備えて、事前に、地元の警察署や近所の交番に相談しておくとよいでしょう。その際には、本人の顔写真などの情報を事前に伝えておくと、いざという時に捜索がスムーズに進みます。

また昨今、各自治体でも、行方不明になる認知症のご高齢者の徘徊に対してさまざまな対策をおこなっていて、捜索の際に、市区町村内に防災無線などを使って一斉に行方不明者の情報を放送してくれたり、近隣のコンビニエンスストアや介護施設などに情報を提供する仕組みを作っている自治体もあります。

※増える認知症高齢者、対策は?「引用元:タウンニュース 厚木・愛川・清川版」

警察が主体となって、認知症ご高齢者が徘徊によって行方不明になった時に備えて、地域との福祉事業所や民間とのネットワークを作っている市区町村の例も1つご紹介します。

※神奈川県認知症行方不明等SOSネットワークについて「引用元:神奈川県認知症等行方不明SOSネットワーク」

地域包括支援センターという介護の相談窓口がアドバイスをくれます

ご自宅の近隣に認知症介護についての総合相談窓口があります。

この相談窓口は「地域包括支援センター」という窓口です。

この「地域包括支援センター」は介護保険制度で定められた、市区町村に設置を義務つけられた介護の総合相談窓口で、認知症のご高齢者の徘徊などについても助言やアドバイスをもらえます。

また、ご高齢者が行方不明になった際にも、近隣警察や交番、町内会や民生委員などへの捜索依頼などもおこなってくれますので、今徘徊に悩んでいる方や、将来徘徊が始まるかもしれないと心配になっている方は、一度相談してみるとよいでしょう。

※地域包括支援センターとは?
「引用元:介護たすけあいホームページ あったかタウン」

地域包括支援センターは、ご自宅の電話帳に電話番号がかならず記載されていますが、それでも見つからない場合には、住まいの市区町村の役所に問い合わせてみてください。

また、こちらのサイトからご自宅の近くにある地域包括支援センターを探せますので、せひ参考にしてみてください。
「引用元:厚生労働省 地域包括ケアシステムの実現に向けて」

徘徊の予防に役立つ便利グッズをご紹介

認知症のご高齢者さんが徘徊したとき、介護者さんが最も恐れる事態は「行方が分からないこと」ではないでしょうか。

どこに行ってしまったかわからない。どこを探せばいいのか見当もつかない。時間だけが過ぎていく・・・。このようなとき、ご高齢者さんの居場所を素早く検知してくれる福祉機器や徘徊に対応するサービスが昨今数多く販売やレンタルされています。

そこでここでは、認知症のご高齢者さんが実際に徘徊して外に出てしまったときに、できるだけ早く居場所を見つけるためにとても便利なサービスを3つご紹介します。

大手セキュリティー会社が提供する徘徊感知サービス

大手セキュリティー会社である「セコム」が提供するのが、認知症ご高齢者さんが徘徊で外に出てしまい家に帰れなくなったとき、ご高齢者さんの居場所を素早く把握し、保護までしてくれる「ココセコム」というサービスです。

このサービスでは、小型の携帯端末型のGPSをご高齢者さんに携帯してもらい、家の外に出てしまったときなどに、ご高齢者さんが持っている端末の電波で居場所を特定し、現場までセコムの緊急対処員が駆け付け保護してくれます。

またご自宅にいるご家族も、パソコンやスマートフォンでご高齢者さんの居場所を特定することもできますし、サービスを提供している「セコム」に電話で居場所を確認することもできます。

※「ココセコムのサービス紹介動画」「引用元:ココセコム ご高齢者の見守り」

※ココセコムの詳しいサービス内容はこちらです。
「引用元:セコムが提供する「持ち歩けるセキュリティ専用端末」ココセコム」

携帯電話大手のNTTが提供する徘徊感知サービス

携帯電話大手のNTTが提供するのが、小型のGPS携帯端末をご高齢者さんの衣類や靴、杖などに装着して、ご高齢者さんが徘徊をして家の外に出てしまったとき、素早く居場所を「メール」でご家族に知らせる「ナビメル」というサービスです。

このサービスは、ご自宅や近隣などご家族の目の届く距離を事前に設定し、そのご家族が目の届く事前に設定した場所からご高齢者さんが外に出ると、ご高齢者さんの居場所をメールでご家族に知らせてくれるというサービスです。

この「ナビメル」では「杖」や「ベルト」などにも小型のGPS端末を装着できるので、最悪、裸足で外に出た場合でも、事前に衣類やベルトなどにGPS端末を装着しておけば、素早くご高齢者の居場所を特定することができます。

※「ナビメル」の詳しいサービス内容はこちらです。
「引用元:徘徊・認知症・介護 ナビメル」

大手在宅介護サービス企業が提供する徘徊感知サービス

大手在宅介護企業である「在宅介護やさしい手」が提供している、徘徊するご高齢者を早期発見するサービスが「いまどこちゃん」というサービスです。

このサービスでは、ご高齢者さんの「靴」にGPS探知機気を装着し、外に出て行ってしまったご高齢者さんの居場所を素早く探知します。

先ほどご紹介した「ココセコム」の徘徊探知サービスでは、携帯型の端末をご高齢者さんに常時携帯してもらう必要がありますが、急に外に出てしまうご高齢者さんは携帯端末を身につけないまま外に出てしまう場合も想定されます。

そのようなとき「靴」にGPS端末を装着することで、認知症のご高齢者さんがとっさに外に出てしまったときでも、居場所を特定しやすい徘徊感知サービスがこの「いまどこちゃん」です。

※「いまどこちゃん サービス内容」「引用元:株式会社やさしい手」



※いまどこちゃんの詳しいサービス内容はこちらです。「引用元:徘徊高齢者を早期発見!GPSレンタル、位置情報提供サービス「いまどこちゃん」

認知症の徘徊への予防策、対処法などについてまとめます

今回は、徘徊という認知症の症状が起きた時の対処法や、未然に防ぐための予防策、また、介護者の負担を軽減してくれる便利な介護サービスなどをご紹介しました。

昨今、道路の信号機を無視して道路に入り、車に轢かれてしまう。線路の踏切に入り、通過してきた電車に巻きこまれてしまう。このような認知症を発症したご高齢者の徘徊が関連している痛ましい事故が数多く起きています。

徘徊の症状が起きているご高齢者の多くは、家を出ても、1人では家に戻ってこれない方が大多数です。

家から出て行ってしまったご高齢者を捜索するご家族や介護者の負担はとても大きなものになりますし、いつ、外に出ていくかわからないので、精神的な負担もとても大きなものとなります。そこで今回の記事では、外に出て行ってしまった時の対処法や、出ていく前に発見することができる予防策、また、捜索する際に素早く発見するための、民間で提供しているサービスなどをご紹介しました。

今回ご紹介した内容が、ご高齢者の徘徊で苦心している介護者様や、ご家族に少しでもお役に立てれば幸いです。

-脳の加齢や認知症(シニアの脳)
-, , ,

Copyright© nou.how , 2024 AllRights Reserved Powered by AFFINGER4.