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008 認知症で発症者数が多い上位TOP3を徹底解説!

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まえがき

認知症と聞くと、「物忘れがどんどんひどくなる」「家の外に出たら帰ってこれなくなる」このようなことを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。ですが、認知症と一口に言っても、発症する原因や、症状、また同じ病気でも発症した人の個人差によって違いがあり、認知症と言われている病気にも様々な種類が存在します。

物忘れがどんどん進行する認知症や、喜怒哀楽が激しくなる認知症、身体の機能が衰えていく認知症など、認知症の種類によって、発症する症状にもそれぞれ特徴があります。今回は、その様々な種類が存在する認知症の中から、発症者数が多い上位3つの認知症である「アルツハイマー型認知症」「脳血管性認知症」「レビー小体型認知症」の3つについて解説してみようと思います。

認知症の中でもっとも発症者数が多いのが‟アルツハイマー型認知症”です。

認知症を発症した方の中で、最も発症する患者数が多いと言われているのがアルツハイマー型認知症です。

認知症を発症された方の6割がこのアルツハイマー型を発症されているとも言われていて、他の認知症を発症される方の数がほぼ横ばいで推移していると言われる中、このアルツハイマー型認知症の患者数は、年々増加傾向にあるとも言われています。また、男性よりも女性が多く発症されているとのデータもあるのがこのアルツハイマー型認知症です。

では、ここからは、発症数で最も多いとされるアルツハイマー型認知症について、発症した際の特徴や原因、発症された人へのかかわり方などについて解説してみようと思います。

アルツハイマー型認知症の特徴

アルツハイマー型認知症の代表的な特徴は、物忘れの症状が強く出ることです。また、発症した初期から記銘力(新しい情報を覚える能力)の低下が見られるのも特徴です。

この記銘力の低下が起こることによって、新しい情報(つい最近の記憶)を覚えることができなくなるので、何度も何度も同じことを聞いてくるといった行動も現れるようになります。

記銘力(新しい情報を覚える能力)を維持するために重要な役割をするのが、脳の海馬という器官です。

新しい情報は、脳の海馬を通して脳の神経細胞に刻まれ、記憶されますが、アルツハイマー型認知症を発症すると、脳の海馬が委縮し、新しい情報を覚える能力である記銘力が低下します。脳の海馬が委縮することで、この新しい情報を覚える能力が低下してしまうために、新しい出来事やついさっきの記憶を覚えておくことができなくなってしまうのもアルツハイマー型認知症の特徴の1つです。

そして、アルツハイマー型認知症のもう一つの代表的な特徴に見当識障害というものがあります。

見当識とは、今、自分がいる場所や月日、時間や季節などを正確に認識する能力です。この見当識に障害が起こると、自分の家にいるのに、どこか違うところに住んでいると言ってみたり、月日や時間がわからなくなることで、夜中に起きだして、突然「これから食事を食べる」と言ってみたりなど、非常識な言動が多くみられるようになるのが見当識障害というものです。

さらにこの見当識障害が進んでくると、自分の家族の名前を言えなくなったり、離れて住んでいる自分の兄弟や孫の顔を見ても、誰だかわからなくなる。名前が出てこない。家の外に出て、近所を歩いているうちに、自分が歩いてきた道がわからなくなり、家に帰ることができなくなる。このような、ひどい物忘れの症状が顕著に表れるようにもなります。

アルツハイマー型認知症は遺伝する可能性がある!

「認知症は遺伝する可能性がある!」などと聞くと驚かれる方も多いと思いますが、これがアルツハイマー型認知症の特徴でもあります。この遺伝が原因となる発症率は、発症率全体の約1%と言われていますが、65歳未満の比較的若い方に発症するというデータもあるようです。

アルツハイマー型認知症を発症する人の多くは70歳を超えて発症しますが、先ほどお伝えしたように、65歳未満の比較的若い方に発症された方の多くに、遺伝的なアルツハイマー病の素因を持っているとも考えられています。

遺伝的なアルツハイマー病は“家族性アルツハイマー病”と呼ばれていて、家族や親族が家族性アルツハイマー病だと分かっている場合は、未だ発症していない方であっても、発症する確率が高くなるようです。

この“家族性アルツハイマー病”は検査で発見されることもあるようですが、100%事前にわかるものでも無いようです。

アルツハイマー型認知症の治療方法

昨今、アルツハイマー型認知症について、治療方法や症状の改善方法など、様々な研究が行われていますが、現時点で、アルツハイマー型認知症という病気を完治できる治療方法も、症状を消失できるお薬もありません。ですが、様々な研究が続けられてきた結果、症状を緩和できるお薬や、症状を改善できる治療方法が現れてきています。

ここからは、アルツハイマー型認知症の症状を改善する治療方法や、症状を緩和できるお薬などについて解説してみようと思います。

アルツハイマー型認知症の治療に効果が認められたお薬がある!

長年、認知症への効果的な治療薬が見つからない状況が続いていましたが、1999年になってようやく、塩酸ドネペジル(商品名:アリセプト)という薬が認知症の治療薬として認可されました。

この塩酸ドネペジルには、アルツハイマー型認知症を発症すると減少する、アセチルコリンという神経伝達物質の減少を抑える効能があるため、自分が経験した過去の記憶が抜け落ちてしまう‟記憶障害”や、理解力や問題解決といった能力が低下する‟認知障害”が改善され、認知症の進行を抑える効果があります。

このお薬は、継続して内服していると徐々に効果は弱まっていきますが、「日々の生活が意欲的になった」「最近、表情に活気が見られるようになった」といった効果が出る場合もあるようです。

1999年に塩酸ドネペジル(商品名:アリセプト)がアルツハイマー型認知症の治療薬として認可されてから、しばらくの間、新しい治療薬があらわれない時期が続きましたが、2011年になり、レミニール、イクセロンパッチ、メマリーの3つが新たに認知症の治療薬として認可、発売されました。

レミニールとイクセロンパッチに2つには、塩酸ドネペジル(商品名:アリセプト)と同じような作用がありますが、塩酸ドネペジル(商品名:アリセプト)とは違う効能もあるなど、それぞれに特徴があるようです。

塩酸ドネぺジルとレミニールは内服薬ですが、イクセロンパッチは貼るタイプのお薬で、薬を飲むことに拒否が強い認知症の方には効果を発揮する治療薬です。このイクセロンパッチのもう1つの効果として、内服薬に見られる、吐き気などの副作用が出にくく、穏やかに作用するといった効果もあるようです。

一方、メマリーは、塩酸ドネぺジルやレミニール、イクセロンパッチとは全く効果が異なる内服薬で、主に、中程度以上に認知症が進行した人向けの認知症の治療薬です。日常生活動作や、興奮作用、落ち着きの無さなどを抑える効果があるようです。

いずれの治療薬も、医師の判断によって適正量が処方され、必要に応じて増減がされます。内服を開始してから、「この薬、本当に効果があるの・・・」などと思っても急に内服を止めてはいけません。

一見効果が見られないようでも、効果の見え方は人それぞれであり、効果の有無を決めるのは、医師だからです。

素人の判断でで内服や治療を急に止めると、さらに症状が悪化する場合もあるので、治療薬はしっかりと管理し、医師の指示に従って適正に内服を行うことが治療を行う上でも大事になってきます。

アルツハイマー型認知症を改善する方法!

専門医からの指示に従った内服治療も、アルツハイマー型認知症を改善するためには有効な手段ですが、それ以外にも、アルツハイマー型認知症を改善する有効な手段がありますので、改善する方法をいくつがご紹介したいと思います。

アルツハイマー型認知症の改善方法その1

十分な睡眠をこころがける

十分な睡眠がとれている人と、日常的に睡眠が不足している人を比較した場合、アルツハイマー型認知症を発症する確率が5倍違うといったデータもあるそうです。

人は寝ているときに、脳に溜まったアミロイドベータという老廃物を取り除いています。このアミロイドベータは、老人斑という脳内にあるシミのような物です。これは、健康な人の脳にも存在していて、通常は脳内のゴミとして排出されます。しかし、睡眠不足が続くことで、アミロイドベータが排出されず、脳内に蓄積されるようになると、蓄積したアミロイドベータが脳細胞を死滅させると考えられています。

記憶や思考をつかさどる脳の細胞が死滅することで、物忘れや様々な認知症の症状を引き起こす原因ともなりますので、脳内のゴミを排出するためにも、日頃から十分な睡眠を心がけてください。

アルツハイマー型認知症の改善方法その2

身体を適度に動かして脳を活性化!

適度な運動を継続的に行うことは、脳の活性化に効果があると言われています。散歩やウォーキングなどを身体に負担のかからない範囲で継続することが脳の活性化と身体の健康に効果があることが科学的にも実証されています。

その他にも、町内会の集まりに参加してみたり、近隣の友人宅に出かけてみるなども、楽しみながら体を動かすことで、脳の活性化にとってはとても効果があるでしょう。

※過去に、認知症の改善、予防に効果がある運動方法について解説している記事をご紹介します。

認知症予防に効果がある!ウォーキングの秘密とは?

認知症予防に筋肉トレーニングが効果あり!

アルツハイマー型認知症の改善方法その3

食生活を見直してみる

青魚に多く含まれるDHAやEPAは、考える能力や物忘れの改善に効果があると言われていますし、野菜や果物に多く含まれている葉酸は、アルツハイマー型認知症の原因となる、アミロイドベータの作用を強めると言われているホモシステインという物質の増加を防ぐ効果があると言われています。

また、高齢者に馴染みの深い飲み物である緑茶に多く含まれるテアニンという成分は、血圧の上昇を抑え、脳の神経細胞を保護する働きがあると言われています。

アルツハイマー型認知症を発症した人への介護での注意点

先の章では、アルツハイマー型認知症の治療方法について、お薬を服用して症状を改善、もしくは緩和する方法があること。そして、発症を予防するために、日々の生活習慣の見直しや、食生活の改善などが必要であることについて解説しました。ではここからは、実際に症状を発症してしまった方への接し方や、接する際の注意点などについて解説してみようと思います。

何度も同じことを聞いてきても怒らないでください。

アルツハイマー型認知症を発症した人によく現れる症状の1つに、「何度も同じことを繰り返したずねてくる」といった特徴があって、例えば、朝起きてから何度も「今日は何月何日?」や「今日は病院?」などと繰り返し同じことを聞いたりします。

こんなことが何度も続くと、「さっき同じこと言ったでしょう」「何度も同じことを聞かないで」と、つい、相手を否定するような言動を取ってしまうかもしれませんが、アルツハイマー型認知症だけではなく、認知症の症状を発症している人への対応としては、逆効果です。自分の求める答えが見つからないばかりか、訴えすら否定されることによって、その後も、何度も何度も同じことを聞いてきます。

では、このようなとき、どのように接すれば良いのか、それは、「なぜ、同じことを何度もたずねてくるのか」この理由を理解することが大事なのです。

何度も同じことを聞いてくるとき、認知症の方の頭の中は、今日が何月何日なのかわからない、でもその答えを見つけたい。その思いで頭の中がいっぱいになって、不安と混乱が入り混じっています。

これを自分に置き換えて考えてみてください。

自分が悩んでいることを人に相談したとき、思うような返答も得られず、すべてを頭ごなしに否定されたら・・・どんな気持ちになるでしょうか。

何度も同じことを聞かれたとき、イライラする気持ちを一瞬でも押さえてみてください。そして、相手は今、「不安なんだ」「困っているんだ」と考えてあげてください。そして、できる範囲で構いませんから、相手の言い分に付き合ってあげてください。

「〇〇が無い!」「〇〇を盗られた!」と騒いだときには・・・

これも、アルツハイマー型認知症を発症された方の症状の1つですが、「もの盗られ妄想」というものがあります。

自分がどこかに片づけたものを、どこに片づけたかわからなくなり、さらに、どこかに片づけたことも忘れてしまうことで、「財布が無くなった!」「時計が盗まれた!」などと何度も何度も訴えます。

このような症状が現れたとき、「誰も〇〇なんて盗みません!」「自分でどこかに片づけたんでしょう!」などと、相手の訴えを否定しないでください。

もの盗られ妄想の状態にあるとき、認知症の方は、強い興奮状態にある場合が多くみられます。このようなときに、相手の訴えを否定することは、逆に相手の興奮を増長するだけではなく、
人によっては、暴言や暴力に訴えるようなことにもつながります。

では、このようなときにはどのように接すれば良いのか、ですが、相手が探しているものをまずは一緒にさがしてあげてください。その探しているものがどこにあるのかわかっている場合でも、知らないふりをして、一緒に探してあげてください。

無くしていたもの、盗られたと思っていたものが見つかることで、認知症の方は不安と興奮から解放されます。

そして、見つかった後のフォローとして、「財布はタンスの何段目」「時計は机の引き出し」などと、相手が理解しやすい場所にいつも置いておく習慣をつけてあげてください。これを行うことで、また、同じことが起こったとき、対応する側としても、探すストレスを少しでも軽減することにつながります。

認知症で2番目に発症数が多いのが‟脳血管性認知症”です。

アルツハイマー型に次いで発症人数が多いと言われているのが、脳血管性認知症です。

アルツハイマー型認知症が、脳の神経細胞が破壊されたり、脳全体の萎縮によって、認知機能や記憶障害といった、症状が現れるのに対し、脳血管性認知症では、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血といった脳血管の病気によって、物忘れや身体機能の低下といった症状が現れます。

認知症を発症されている方の2割から3割が発症されているとも言われていて、女性よりも男性に多く発症されるといったデータもあるようです。

では、ここからは、脳血管性認知症を発症した際の特徴や、発症の原因、発症された方への対応方法などについて解説してみようと思います。

脳血管性認知症の特徴

脳血管性認知症を発症された方の特徴的な症状に、‟まだら認知症”という症状があります。

アルツハイマー型認知症など他の認知症では、物忘れの症状や、今まで出来ていた入浴や排せつなどの行為が徐々にできなくなっていくなど、目に見える形で症状が進行していくのに対し、‟まだら認知症”では、ある日突然、ひどい物忘れが現れたと思ったら、次に日には、何事もなかったように穏やかになっているといったことが現れます。

また、物忘れなどの症状以外にも、ろれつが回らなくなり、何を言っているのかわからなくなったり、歩行が不安定になり、転びやすくなるなどの運動障害、さらに、自分の感情をコントロールできなくなって、突然泣き出したり、やたらと怒りっぽくなるなどの感情失禁といった症状が、発症の早期から現れるのも、この脳血管性認知症の特徴的な症状です。

脳血管性認知症を発症する原因

脳血管性認知症を発症する最大の原因は、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血といった脳血管の病気です。

脳梗塞を起こした場合では、脳血管が詰まってしまうことで、脳の一部に血液が流れなくなり、血液の流れが止まってしまった部位の脳細胞が働くなってしまうことで、認知症の症状を発症します。脳出血の場合では、脳血管が破れ血液が脳内に流れることで、脳内に流れた血液が脳細胞を圧迫し、脳細胞を破壊するなどが起こります。脳細胞が圧迫されたり破壊される部位によって、物忘れの症状や運動機能障害など、様々な症状を引き起こします。

脳血管が詰まったり、血管が破れる原因の多くが動脈硬化です。動脈硬化の原因としては、高血圧や糖尿病、脂質異常や喫煙などがあげられ、このような生活習慣病が脳血管性認知症を発症する原因ともなります。

脳血管性認知症の治療方法

脳血管性認知症を引き起こす原因は、脳血管が詰まったり破れることで、脳細胞が圧迫されたり破壊されてしまうことですが、破壊されたり圧迫されたことで、一度機能を失ってしまった脳細胞はもとに戻ることはありません。

また、脳血管性認知症が原因となって起こる、記憶障害や運動機能障害、認知機能を改善、もしくは治癒する方法は現在存在せず、脳血管性認知症への治療では、脳血管が再び出血などを起こさないための再発予防策と、発症した認知症状への対処療法を行うこととなります。

ではここからは、その再発予防策と対処療法について解説していこうと思います。

脳血管性認知症への再発予防策

脳血管の障害が原因となって、機能を失ってしまった脳細胞はもとには戻りません。ですから、今現在機能を保っている脳細胞がこれ以上破壊されないためには、日々の再発予防策がとても大切になります。そして、脳細胞が圧迫されたり破壊される原因となる、脳血管が破れることや、詰まることを予防するためには、その原因となる脳梗塞や脳出血を予防することが大切です。

脳出血や脳梗塞の原因には、生活習慣病が大きく関連しています。

生活習慣病には、高血圧や脂質異常、糖尿病などがあり、こういった生活習慣病を引き起こす原因には以下のようなものがあげられます。

予防策その⒈かたよった食生活を見直す

「濃い味付けを好む」「野菜が不足しがち」「食事は外食が中心」このようなかたよった食生活を続けていることが、生活習慣病を引き起こす原因となります。例えば、野菜が不足しがちな人は、野菜に多く含まれている食物繊維が不足します。食物繊維には、糖質や脂肪の吸収を抑え、肥満を予防する働きや、コレステロールを低下させる働きがあります。

濃い味付けを好む人は、塩分を多く摂りがちになります。塩分の摂りすぎは、高血圧や脳卒中といった、脳血管性認知症を引き起こす原因である脳血管の詰まりや、血管が破れる原因ともなります。また、日々の食事が、外食中心であったり、コンビニ弁当で済ますことが多い方は、揚げ物や肉を多く摂っている方が多くいらっしゃいますが、肉の油やラードなどを日々多く摂っていると、肥満、動脈硬化、心臓病などを引き起こす原因ともなります。

予防策その⒉運動不足を解消する

毎日、忙しい生活を送っていると、つい運動不足になりがちですが、この運動不足も生活習慣病を引き起こす原因ともなります。

定期的に運動を行うことで、体内に蓄積された脂肪や糖質を燃焼する効果がありますが、生活習慣病を予防するために適した運動の代表的なものに、有酸素運動があります。有酸素運動では、運動を行う際に、継続的に筋肉に負荷がかかるために、運動を行うためのエネルギーとして体脂肪が燃焼されます。

有酸素運動の代表的なものに、ウォーキングがあります。一回に30分程度、はじめは散歩するくらいの速度で行ってみてください。慣れてきたら、徐々に速度を速めていくとさらに効果があります。運動を行って脂肪を燃焼するためには、運動後、20分から30分の時間が必要と言われていますので、ゆっくりでもかまいませんから、自分のペースでできるだけ時間をかけてウオーキングを行うことが大切です。

毎日、継続して行うことが理想的ですが、時間が取れない方であれば、1日おき、週に何回、といった不定期でもかまいません。
体脂肪の燃焼は、肥満や動脈硬化などに効果的です。

※過去に、ウォーキングについて解説している記事がありますのでご紹介します。

認知症予防に効果がある!ウォーキングの秘密とは?

予防策その⒊禁煙する!

喫煙と聞くと、肺がんの原因と思われる方が多いかもしれませんが、喫煙が引き起こす病気には肺がんの他にも、脳梗塞や脳出血、クモ膜下出血など、脳血管性認知症の原因ともなるものが多数ひそんでいます。喫煙が原因で心筋梗塞になったが、発症後禁煙を行ったことで、喫煙を続けた方よりも、死亡率が6割下がるといったデータもあるようです。

この他にも、脳血管の障害を起こす原因ともなる、動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病を引き起こす原因ともなるのが喫煙です。

脳血管性認知症への対処療法

脳血管性認知症を発症された方に対して、今現在、完治する治療方法や予防薬などはありません。ですが、発症を未然に予防するための対処療法はいくつか存在しています。いくつかある対処療法のなかでも、代表的なものに、内服薬による対処療法があります。

脳血管性認知症を発症する原因となる、高血圧や糖尿病などを予防するために、血液の流れをよくする内服薬が多く使われています。また、意欲の低下や、うつ症状が多くみられる方へは、抗うつ剤といった内服薬が処方されることもあります。

その他にも、突発的に興奮したり、怒りっぽくなる方へは、興奮作用を抑える内服がされる場合もありますし、日々眠りが浅く、昼と夜が逆転してしまっている方へは、入眠導入剤や睡眠薬が処方される場合もあります。

脳血管性認知症を発症した人への介護での注意点

ここまでは、脳血管性認知症について、発症の原因や、症状の特徴、発症後の対処法や予防の方法について解説してきました。

脳血管性認知症を発症すると、物忘れの症状を訴えたと思ったら、次に日には正常に受け答えができてしまう‟まだら認知症”や、歩行が小刻みになったり、手や足のマヒが起こるといった運動機能障害などが現れます。その他にも、感情のコントロールができなくなったり、ろれつが回らなくなるなどの、言語障害なども現れます。

このような脳血管性認知症の特徴的な症状が現れたとき、どのように接すれば良いのか、接する際の注意点などについて解説していこうと思います。

まだら認知症が現れたら、ここに注意!

昨日は何度も「今日は何日?」や「今何時?」など言っていたのに、今日は、何事もなかったようにしっかりしている。でも、次の日になっているとまた、同じことを何度も聞いてくる・・・こんなことが何度も続くと、お世話をしている家族の方はつい、「何言っているの!」「今日は〇日でしょう!」などと、つい強い口調で言い返してしまうこともあるかもしれません。

ですが、これがまだら認知症の特徴でもあり、言っている本人も、自分が忘れぽくなっていることを自覚していたりもします。そして本人も、昨日は出来ていたことが、今日はできなくなっている。この現実を受け止めることができなくて悩んでいます。

こんな時には、本人も現実を受け止められなくて悩み、苦しんでいることを理解してあげてください。そのうえで、わからないことがあって、何かをたずねてくることがあったときには、できるだけ、さりげなく、本人が傷つかないような言葉かけをしてあげてください。

感情のコントロールができなくなっているようだったら・・・

突然、場にそぐわない会話を始めたり、何でもない場面で笑いだしたり、かと思ったら、突然怒りだしたり・・・このような症状も、脳血管性認知症の症状の1つで、これを感情失禁と言います。これは、感情をコントロールする脳の機能が低下することによって起こる症状で、本人が意識的に行っている言動ではありません。

こんな時、近くにいる家族の方は驚かれるでしょうし、「なに変なこと言っているの!」などと、言動を抑えてしまうかもしれません。ですが、これも脳血管性認知症が引き起こしている症状で、本人の意図しない言動です。

こんな時には、本人の感情が穏やかになるまで待つしかありません。感情の変化が現れたとしても、あくまで一時的なことが多いので、怒っているときなどは、無理に怒りを抑えるようなことはせず、離れたところから見守ったり、お茶を1杯あげて気持ちを落ち着かせるように努めてあげてください。

※過去に、認知症高齢者さんが怒り出したときへの対処法を解説した記事がありますので、ご紹介します。

認知症高齢者が怒りだした!その時どうすればよいのか?

明らかに歩き方が変になっているようだったら・・・

歩いているときに、歩幅が以前と比べて明らかに小刻みになったり、ちょっとした段差などに足を引っかけて転ぶ。このような症状が現れたときには、さらに転倒の回数が増えたり、歩行だけではなく、手にマヒがでたり、症状が進行すると、いままでできていたトイレで用を済ますことができなくなったりする可能性があります。

この症状を運動機能障害と言い、脳の運動機能をつかさどる部位が、脳血管障害によって機能しなくなるとこで起こる症状です。この歩行のつまづきや、手足が以前に比べて不自由に見えてきたときは、この運動障害が起こっているサインである可能性が高いです。

このような症状が始まった時には、家の中の段差を解消する。手すりを設置するなど、環境を見直してみることが大切です。また、運動機能を維持向上のために、リハビリに取り組むことも、本人にためにも介護をされる方にとっても大切なことでもあります。

※過去に、認知症高齢者におススメのリハビリについて解説した記事がありますので、ご紹介します。

認知症予防に筋肉トレーニングが効果あり!

認知症の中で患者数20%を占めるのが‟レビー小体型認知症”です!

認知症を発症された方たちの中で、アルツハイマー型認知症に次いで、2番目に多い発症数と言われているのが、レビー小体型認知症で、脳血管性認知症、アルツハイマー型認知症とともに、三大認知症とも言われていて、他の2つの認知症には無い、特徴的な症状を持つ認知症でもあります。

では、ここからは、レビー小体型認知症について、特徴的な症状や発症の原因、治療方法や、介護をされるご家族の方に知っておいてほしい注意点などについて解説していこうと思います。

そもそも‟レビー小体”とは何?

レビー小体型認知症の解説に入る前に、レビー小体について、あまり聞きなれない方もいるかもしれませんので、まず、レビー小体とはいったい何であるのか?少し解説してみようと思います。

脳の神経細胞にできるたんぱく質のかたまりが・・・

レビー小体とは、脳の神経細胞内にあらわれるたんぱく質のかたまりを指します。

このレビー小体というたんぱく質は、脳内だけではなく、身体全身に張り巡らされている神経にもあらわれ、このたんぱく質が脳内にたまっていくと、脳内の神経細胞を破壊します。

このレビー小体が脳の神経細胞を壊す部位によって症状は異なり、レビー小体が脳幹に多くあらわれると、パーキンソン病と診断され、大脳皮質にレビー小体が多くあわられるとレビー小体型認知症と診断されます。

レビー小体型認知症の特徴

では、ここからは、レビー小体型認知症を発症するとどのような症状が現れるのか、解説していこうと思います。

特徴その⒈手足が震えたり、歩行や動作が遅くなる。

レビー小体型認知症を発症すると、脳内にあるドパミン神経が壊されます。

このドパミン神経は、脳から全身の筋肉へ運動の指令を出すために必要な、神経伝達物質であるドパミンを作る神経です。このドパミン神経が壊されることで、脳内から運動の指令がうまく伝わらなくなり、身体を動かす機能に障害があらわれます。

代表的な例では、パーキンソン病に似た症状である、手の震えや歩くときに歩幅か小さくなるなどがあり、なにもしていないのに手が小刻みに震える。歩くときに、歩幅が不自然なほどに小さくなり、小股でちょこちょこと歩くようになります。また、全身の筋肉のこわばりなども現れることもあり、歩いているときなどに、手の振りが無く、身体が棒のようにあるくなどの症状もあらわれます。

また、顔の表情に変化が乏しくなり、いつも無表情で、喜怒哀楽がわからなくなるのも特徴です。

特徴その⒉「虫が天井にいる」「知らない人が部屋に入ってくる」などの幻視を訴える。

アルツハイマー型や脳血管性といった認知症では、物忘れが進行するというイメージを持たれる方が多いと思いますが、レビー小体型認知症では、物忘れの症状もあらわれますが、発症初期からあらわれる特徴的な症状として、幻視という症状があらわれます。

「天井に虫がたくさんいる」「庭に小人がいた」など、ありもしないものが見えると訴えるようになります。また、誰もいない真っ暗な部屋の中で、空間に向かって、ブツブツとひとりごとを発したり、すでに亡くなっている人の名前を出して、「明日、あの人が帰ってくる」などと、ありもしないことを訴えたりもします。

特徴その⒊自分の年齢がわからなくなったり、家族の家や家族が誰だかわからなくなる。

自分の年齢がわからなくなり、過去の若かった記憶のまま、まだ自分は独身だと言ってみたり、働いているころの話を大真面目に話したりします。また、家族の顔を見ても、それが誰だかわからなくなり、ひどい時には、家族に対して暴言を言ったりもします。

過去に自分が住んでいた家から、家族に家に引っ越しした場合などは、「ここはどこだ!」「家に帰る!」といって外に出たりなど、徘徊の症状があわられる人もいます。

特徴その⒋うつ病と間違ってしまう場合もある。

発症の初期から、うつ病と間違ってしまうような症状があらわれる場合も多くみられ、食欲減退や活気がなくなるといった症状や、眠れなくなるなどの睡眠障害もあらわれる場合もあります。症状が進行すると、眠れないことで夜間に大声を出すようになったり、深夜の徘徊が始まることもあります。

レビー小体型認知症の治療方法

レビー小体型認知症の治療では、医師の診断にもとづいた内服薬の処方が治療の中心となります。症状を完全に治癒することは出来ませんが、適切な内服薬の投与によって、症状の緩和や進行を遅らせることができます。

内服薬には以下のようなものがありますので、いくつかご紹介します。

1.アリセプト

日本で唯一の認知症薬として、エーザイが世界で初めて開発した抗認知症薬がアリセプトです。

この薬は、医療保険で処方の適用をする場合、アルツハイマー型認知症のみ処方できる薬ですが、家族の同意があればレビー小体型認知症の治療にも用いられています。

私たちの脳は、アセチルコリンという神経伝達物質を介して記憶・学習を行なっています。ですが、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症を発症された方は、アセチルコリンが脳内において減少します。さらに脳内では、アセチルコリンを分解する役割を持つ酵素であるアセチルコリンエステラーゼがあり、アリセプトはこのアセチルコリンエステラーゼの作用を阻害することで、脳内でのアセチルコリンの濃度を高め神経伝達を助けます。

この薬は、3mg・5mg・10mgの3種類のがあり、投与量の調節が上手くできると、アルツハイマー病以上に効果を示すことも知られています。

2.メマリー

2011年6月から第一三共株式会社が発売した抗認知症薬がメマリーです。この薬は、中等度~高度のアルツハイマー病に適応があり、海外では、認知機能および臨床全般印象度の改善が報告されています。

脳内で記憶や学習に深くかかわる神経物質にグルタミン酸というものがあり、認知症を発症された方の脳内では、たんぱく質が異常に発生することでグルタミン酸も過剰に発生します。このグルタミン酸が正常な状態であれば、記憶機能が正常に働きますが、グルタミン酸が過剰な状態であると、記憶機能が妨害され、記憶機能に障害が発生します。メマリーには、この過剰なグルタミン酸の放出を抑える働きがあります。

3.抑肝散

この抑肝散という薬は、ツムラから発売されている漢方薬ですが、脳内にある興奮を引き起こす神経伝達物質グルタミン酸などの分泌を抑制する作用があるとされていて、認知症の特徴的な症状の1つである、暴言や徘徊などを抑制する効果もあると言われています。

興奮作用を抑える薬では、精神安定剤もありますが、眠くなるなどの副作用や、内服してから効果を発揮するまでに時間がかかるなどがあります。ですが、この抑肝散は、眠くなるなどの副作用が少なく、内服してからの即効性もあると言われていて、暴言などを発しているときなどに服用することで、興奮作用を早く抑える効果もあるようです。

レビー小体型認知症を発症した人への介護での注意点

ここまでは、レビー小体型認知症の特徴や発症の原因、治療法などについて解説してきましたが、ここからは、発症された方の介護をするご家族に、ぜひ知っておいてほしい、介護をする上での注意点をいくつか解説してみようと思います。

「また変なこと言っている」「そんなことあるわけない」などと思っても・・・

レビー小体型認知症の特徴に、幻視というものがあることは先の章でもお伝えしましたが、「そこに虫がたくさんいる」「昨日、知らない人が勝手に部屋の入ってきた」などと訴えてきても、決して否定はしないでください。

否定したところで、相手には全く通じませんし、こういった場合、かえって相手の感情を混乱させるだけで逆効果になることがほとんどです。私たちには見えないものであっても、本人には見えているのです。ですから、そんなことを訴えてきたときには、相手に話を合わせてあげてください。

例えば、「部屋の隅に虫が見える」といったときには、一緒になって、虫を払う動作をしてあげてください。「昨日、知らない人が部屋に勝手に入ってきた」といったときには、「もう、その人はいなくなりましたよ」と言って、相手を安心させるようにしてあげてください。

否定をしたり、「そんなことはない」と説得しても、相手には通じません。面倒だとは思わずに、その時だけでも相手に合わせてあげることが大切です。

歩幅が小刻みになったときには、住環境の見直しが必要です。

これも先の章でお伝えしましたが、レビー小体型認知症の特徴でもある、パーキンソン病のような運動機能障害があらわれると、まず、歩行中の転倒の危険性が大きくなります。歩幅が狭くなり、小刻みに足を動かすようになることで、ちょっとした段差を超えられなくなったり、畳の継ぎ目や、絨毯の模様などに足を引っかけて、簡単に転ぶようにもなります。

このように、歩行が危うくなってきたと感じたときには、段差を解消する、畳をフローリングに変えるなど、住環境の見直しを行うことが大切になります。すでにケアマネジャーさんがいて、介護サービスを利用されている方であれば、介護保険を利用して、住環境の整備を行うこともできますので、ぜひ相談してみてください。

※介護保険で住宅環境の整備をする方法

まだ、介護保険サービスを利用されていない方は、一度、近隣にある地域包括支援センターというところにご相談してみてください。

※地域包括支援センターとは
※地域包括支援センターを探す

お部屋のなかはできるだけ明るくしてあげてください。

これもレビー小体型認知症の特徴の1つで、薄暗い部屋の中にいると、幻視があらわれたり、不安を訴えることが多くなります。夜になると、「あそこに何かいる」「誰かがいる」などと訴えるのも、暗がりにいることで不安を感じるからです。夜、寝床に入る時には、消灯台にライトを点けてあげるなど、できるだけ暗がりで不安にならないよう配慮を行ってあげてください。

また、ご高齢者の方には、「電気代がもったいないから」といって、就寝前に部屋の電気を全て切ってしまう方もいますが、電気の消えた真っ暗の部屋で寝床に入り、トイレなどで夜中に目を覚ました時、部屋が真っ暗だったことで、突然不安を訴えるといったこともありますので、寝床に入った後には、もう一度部屋の明かりなどを確認してあげることも大切です。

まとめ

今回、認知症の中でも代表的なものである、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、そして、レビー小体型認知症について、それぞれの認知症が持っている特徴的な症状や発症の原因、症状への治療方法や対応法、介護をされる際の注意点などについて解説してきました。

物忘れの症状が強く出るものや、運動機能に障害があらわれるもの、私たちには見えないものが見えると言って不安を訴えたり、混乱したりするものなど、今回解説してきた3つの認知症はそれぞれ特徴的な症状を持っています。

今回、お伝えした内容が、今、認知症介護に疑問や不安を感じている方。また、これから認知症介護を始めるかもしれないが、今後、どのように介護をすればよいのか不安を感じている方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

最後までお付き合いくださりありがとうございました。

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