【目次】
- ∨まえがき
- ∨歳相応の物忘れと認知症の物忘れについて・・・
- ∨なぜ認知症テストが必要なのか?
- ∨では、認知症テストをおこなってみましょう
- ∨認知症の専門医も使っている認知症テストとは?
- ∨認知症の検査とは?
- ∨認知症検査ではどのような検査をするの?
- ∨認知症検査はどこの病院に行けばいいの?
- ∨認知症テストについてまとめてみます
まえがき
「最近、同じことを何度も何度も聞いてくることが増えた」
「食事をさっき食べたばかりなのに、すぐに忘れる・・・」
「飲み薬なんて、ほとんど飲み忘れている」
最近、お世話をしているご家族に、こんなご様子見られませんか?
「誰だって歳を取れば、少しぐらい忘れっぽくなるでしょう」こんな風に思う方もいるかもしれませんが、これが、実は、認知症の症状が、少しずつ進んでいるサインだったとしたら・・・どうしますか・・・?
ですが、認知症への専門的知識を持っていない方には、どんな様子が見られたら認知症を注意した方が良いのか、そして、どのような症状が現れたら認知症の始まりなのか、なかなか判断が難しいと思います。
その予期することが難しい認知症を、早期発見するために、今回は、認知症の専門知識がなくても、自宅で誰にでも簡単にできる認知症テストについて解説してみようと思います。
認知症テストには、認知症の症状の目安を発見する簡単なものから、クリニックや病院でも使われている専門的なものまで、さまざまなものがありますが、今回は、比較的短時間におこなえる簡易テストと、専門医も使っているテストの内容の、両方をご紹介してみようと思います。
また、テストをおこなった後、テストの結果によってどのような対応を取ればよいのか、テストの結果によっておこなえる、認知症の早期発見の方法などについても解説してみようと思います。
歳相応の物忘れと認知症の物忘れについて・・・
先の章の、まえがきで、認知症の専門知識がなくても、ご自宅で誰でも簡単にできる、認知症テストについてお伝えしました。また、認知症テストをおこなうことで、認知症の症状を早期に発見できることもお伝えしました。
ですが、その認知症テストを行う前に、1つお伝えしておきたい大切なことがあります。
それは、「歳相応の物忘れ」と「認知症による物忘れ」についてです。
一緒に暮らしているご家族に「最近、物忘れが進んできたような・・・」と思うことがあったとしても、それが、「認知症による物忘れ」なのか、それとも「歳相応の物忘れ」なのか、これは、認知症の専門知識がない人には、なかなか判断が難しいと思います。
ではなぜ、この「歳相応の物忘れ」と「認知症による物忘れ」について、お伝えしなければならないのか、それは、「歳相応の物忘れ」と「認知症による物忘れ」の2つは、同じ物忘れであっても症状が現れたときへの対応方法や、症状への対処方法に違いがあるからなのです。
また、この後でさらに詳しく解説する「認知症テスト」とも、「歳相応の物忘れ」と「認知症による物忘れ」の2つは深くかかわってきます。
では、この「歳相応の物忘れ」と「認知症による物忘れ」の2つには、どのような違いがあるのか、次の章で、事例も交えながら解説してみようと思います。
こんな症状は歳相応の物忘れです!
まず、こんな様子であれば「歳相応の物忘れ」の代表的な例をご紹介します。
1)昔からの古い友人や、昔からテレビでよく見るタレントさんの名前をなかなか口に出すことができない。
→ 誰かがヒントを与えれば「あ、そうだった」と名前を思い出すことができれば、これは歳相応の物忘れです。
2)昨日の夜に食べた献立が思い出せない。
→ 昨日の夜、ご飯を食べたという「自分がした出来事」は覚えていても、その時食べた献立だけが思い出せないのであれば、これは歳相応の物忘れです。昨日の夜に食事をしたことを忘れていなければ大丈夫です。
3)「あれ、私今、何をしようとしたんだっけ?」と自分が今何かをしようとしたことを忘れてしまう。
→ 「今、自分は何かをしようとしていた」という自覚がはっきりとあれば、これも歳相応の物忘れです。
4)電化製品の使い方がなかなか覚えられない。
→ 最近の電化製品には、さまざまな機能があり、操作のボタンもたくさんあったりと、ご高齢者さんにとって、操作や機能を覚えるのは大変なことです。ですが、テレビのリモコンの操作や家電製品の機能をなかなか覚えられないのは、脳の記憶機能が新しい情報をうまく取り込めない老化現象の1つです。ですから、これも歳相応の物忘れです。
5)部屋の中にいつも置いてある、いつも使っている時計や財布の置き場所を忘れてしまう。
※自分がいつも使っている「時計」「財布」といった探し物が、何のために必要なものなのか、それが何であるのかなどは理解できている。
→ 「何が見つからないのか」「何をいつ使ったのか」自分で自覚できているので、これも歳相応の物忘れです。
こんな症状は認知症の物忘れです!
1)昔からの古い友人や、テレビでよく見る俳優さんの名前をなかなか口に出すことができない
→ 名前のヒントを教えても名前が思い出せない。時間をかけても名前が出てこない。このようなことを試してみても、思い出せないようであれば、認知症による物忘れです。この症状がひどくなってくると、ヒントを教えてあげても「その人誰?」などと、その人と会っていた記憶すら忘れてしまうようにもなります。
2)昨日の夜食べたご飯の献立を思い出すことができない
→ 認知症による物忘れの症状がはじまっていると、食べたときの献立だけでなく、食べたことすら忘れている場合がほとんどです。献立のヒントを教えてあげても思い出せない。さらには「昨日はなにも食べてない!」などと言いだしたら、認知症による物忘れの症状が始まっている可能性が大きいです。
3)「あれ、今何しようとしたんだっけ?」と自分が何かをしようとしたことをすぐに忘れてしまう。
→ 歳相応の物忘れの場合、「自分はさっき、何かをしようとしていた」など、曖昧な記憶であっても、「自分が何かをしようとしていたが、その何かが思い出せない。」これぐらいで済みますが、これが「認知症による物忘れ」の場合だと、「今まで自分はどこにいて、何をしていた」という出来事や記憶を思い起こすことができなくなります。近くにいた家族が「さっき、何かしようとしていたでしょう」などと教えてあげても、本人にはまったく自覚がないばかりか、最悪はパニックを起こすことすらあります。「認知症による物忘れ」では、多くの場合、自分が何かをしていたという自覚がないことが多くみられます。
4)電化製品の使い方がわからない
→ テレビやエアコンなどのリモコンを、「テレビを見るための道具」「部屋を温めたり涼しくする道具」というように認識できていて、そのうえで、使い方が覚えられないのであればこれは「歳相応の物忘れ」ですが、リモコンなどを「何かをするために必要な道具」と認識もできず、ただ手にとっているだけであれば、これは「認知症による物忘れ」です。
テレビやビデオ、ラジオといった家電製品が、何のために使うものであるのかを理解できているが、ただ、操作ボタンの使い方などがわからないのであれば、「歳相応の物忘れ」ですが、「認知症による物忘れ」では、手に取っているリモコンや家電製品が、「何をするために使うものなのか」「これを手にとって、何をすればよいのか」などを自分で考えることもできなくなります。
5)部屋の中にいつも置いてある、時計や財布の置き場所を忘れてしまう。
→ 第三者から見ても、本人が「見つからない」と訴えているものが、さっきまでそこに確かにあった物であったり、普段、本人が良く使っている者であれば、これは「歳相応の物忘れ」ですが、使ったこともなく、ありもしないものを探しだしたり、見つかったとしても、いつも違う場所にしまってあったり、最悪の場合、探し物の名前すら出てこない場合であれば「認知症による物忘れ」です。
歳相応の物忘れと認知症の物忘れの見分け方
歳相応の物忘れと認知症の物忘れの違いについて、事例を交えながら解説してみましたが、いかがだったでしょうか。
事例でもお伝えしたように、「歳相応の物忘れ」の場合、「自分が何かをしようとしていた」「忘れてしまった出来事の少し前に、自分が何をしていた」などはなんとなく思い出せることが多いです。
食事を例にとれば、数時間前に、自分は食事をしていたことは覚えているけど、その時に、「何を食べていたか思い出せない。」のように、出来事や記憶を全て忘れてしまったわけではなく、部分部分に曖昧ではありますが、思い出すこともできるのが「歳相応の物忘れ」です。
これが「認知症の物忘れ」の場合、先ほどの食事を例にあげてみると、数時間前に、自分が食事をしたことの記憶も失われてしまいます。
原因にはさまざまなものがありますが、ついさっき、自分が食堂いたことや、食事をするために椅子に座っていたことなどの記憶もすっかりと忘れてしまうこともあります。
自分自身がおこなっていた出来事や、直前の出来事などを「短期記憶」と呼ぶのですが、認知症によるもの忘れの症状が始まると、この「短期記憶」が失われるようになり、自分がどこにいたのか、さっきまで何をしていたのかなどの記憶を保持することが難しくなります。
これが「認知症による物忘れ」の特徴でもあります。
※短期記憶とは?
「引用元:HEISEI-LIFE」
なぜ認知症テストが必要なのか?
先ほどの章では、「歳相応の物忘れ」と「認知症による物忘れ」について解説しました。
しかし、なぜ、認知症テストをおこなっていただく前に、この「歳相応の物忘れ」と「認知症による物忘れ」の違いなどについて解説したのか、それには理由があります。
「歳相応の物忘れ」では、「自分が何かを忘れてしまった」という本人の自覚があります。ですが、「認知症による物忘れ」では、「何を忘れたのか?」「自分は何をしていたのか?」という自覚がありません。
「歳相応の物忘れ」のように、自分で自覚できていれば、忘れないように自分で工夫をしてみたり、身近にいる家族にサポートをしてもらいながら、今の生活を継続することも可能ですが、「認知症による物忘れ」では、本人が「何かを忘れてしまった」という自覚がありません。ですから、いくらまわりにいる人間がサポートをしようとしても、本人がその必要性を感じてくれないので、症状が進んでしまうことも多いのが「認知症による物忘れ」です。
「認知症による物忘れ」が始まっている方に、これからご紹介する認知症テストはあまり意味がありません。それはなぜか?「認知症による物忘れ」が始まっているということは、もうすでに「認知症を発症している」からです。
認知症を発症してしまったら、まずは症状の進行をおさえることと、症状を改善するための対処をおこなうことが大事です。
そして、症状の原因や対処の方法を調べるためには、「認知症テスト」ではなく「認知症検査」をおこなう必要があります。
※認知症検査についてこの記事で詳しく解説していますのでぜひ参考にしてみてください。
また「歳相応の物忘れ」の状態であれば、まだ「認知症」を発症する可能性がある「認知症の予備軍」ですから認知症テストをおこなって、今の状態を知り、今後の対策を検討する必要があります。
では、次の章からは実際に「認知症テスト」を体験していただこうと思います。
では、認知症テストをおこなってみましょう
では、ここからは実際に、認知症の始まりを早期発見するための認知症テストをおこっていただこうと思います。
どんな病気でも、早期発見が大切です。
また、認知症は特に早期に発見することが大事と言われていて、物忘れなどといった、認知症特有の症状の始まりを早期に発見することで、症状の進行を遅らせることができたり、介護への負担を軽減することにもつながります。
ここでのテスト項目は、認知症の専門医が行っているような医学的見地に基づいたものではありません。あくまで、日々の暮らしの中で、「こんなことが見られたら、専門医に相談する目安」になるものですから、あまり難しく構えないで、まずは気楽に行ってみてください。
認知症チェック
Check1 もう、物忘れが進んでいる・・・?
1)同じことを何度も何度も聞いてくる。返答してもまた、同じことをすぐに聞いてくる。
2)自分で何かを片付けても、どこに片づけたかすぐに忘れてしまう。
3)自分でどこかに片づけたものが見つからないと「誰かに盗まれた!」と騒ぐ。
Check2 理解力・判断力が低下している・・・?
1)新しい出来事への順応性が無くなっている。
2)会話がかみ合わないことが多くなった。
3)子供でもできる簡単な計算もできなくなった。
Check3 場所や、時間を忘れるようになった・・・?
1) 外出すると、家に帰るまでの道に迷うようになった。
2)病院への通院日や、知人との約束を忘れることが多くなった。
Check4 最近、急に人が変わったような・・・
1)ちょっとしたことですぐに怒るようになった。
2)自分の失敗を、他人のせいにするようになった。
3)他人の意見を聞き入れず、やたらと頑固になった。
Check5 不安を訴えることが多くなったかも・・・
1)「頭がおかしくなった・・・」と何度も訴える。
2)部屋に引きこもることが多くなった。
3)前は興味を持っていたことなのに、興味を示さなくなった。
いかがだったでしょうか。ここでご紹介したのは、認知症を早期発見するための簡単なテストでしたが、もしも、テストの結果にいくつか気になる項目があったなら、できるだけ早めに、一度、認知症の専門外来に受診することをおすすめします。
また、今現在、該当する項目がなかったとしても、この認知症チェックをぜひ、今後の参考にしていただければと思います。
認知症の専門医も使っている認知症テストとは?
では次は、先ほどのテストよりやや専門的で、認知症の疑いや、認知機能の低下を早期発見するために、医療現場や認知症専門医、介護の現場でも多く使われている認知症テストをご紹介します。
この認知症テストは、1974年に精神科医である長谷川和夫氏が開発した簡易知能検査で、「長谷川式認知症スケール」と呼ばれています。
このテストは、認知症の専門医や、多くの医療機関で、初期の認知症の発症などを調べる際などに使われています。その後、1991年に「改訂長谷川式簡易知能評価スケール」として質問項目と採点基準などの改訂がされました。
「改訂長谷川式簡易知能評価スケール」は、9つの評価項目で構成されていて、それぞれの項目に見当識や記憶、計算など認知機能を評価するために重要な要素が含まれています。
※改訂長谷川式簡易知能評価スケールではこのようなテストを行います。
https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/bucket-selfbox/pdf_images/HDS-R_download.pdf
改訂長谷川式簡易知能評価スケールとは?
改訂長谷川式簡易知能評価スケールには、次のような特徴があります。
1)自宅で誰でも簡単に、約5から10分という短時間で認知症のテストができます。
2)認知症のスクリーニングテストとして日本では主流です。
3)20点以下/30点満点で認知症の疑いが発見できます。
4)多くの認知症専門医や医療機関で使われていて、テストの妥当性が高いと言われています。
5)テストで用意する物品が、家にある日用物品だけで簡単に準備ができます。
この「改訂長谷川式簡易知能評価スケール」は認知症の専門医などの医療現場などでも使われているものでもありながら、テストに必要な準備も少なく、短時間に比較的簡単におこなえることから、高齢者施設などの介護の現場で多く取り入れられています。
改訂長谷川式簡易知能評価スケールをおこなってみましょう!
では、早速に「改訂長谷川式簡易知能評価スケール」で認知症のテストをおこなってみましょう。
テストの前にまずいくつか準備をしてもらいます。準備に必要なものは以下の3つです。
1)「改訂長谷川式簡易知能評価スケール」の評価用紙
※評価用紙はこのようなものです。
https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/bucket-selfbox/pdf_images/HDS-R_download.pdf
2)筆記用具(鉛筆と消しゴム)
※いつも使っているもので構いません。
3)5つの道具(ハサミ、時計、鉛筆、鍵、硬貨、くし、スプーンなど)
※絶対にこの5つなくても大丈夫です。家の中にあるもので5つ用意できれば大丈夫です。
このテストでは、評価用紙に書かれている9つの質問に回答してみてください。回答例や問題の内容を以下に記しますのでテストをおこなう時の参考にしてみてください。
「改訂長谷川式簡易知能評価スケール」の回答例
質問(1)あなたのお歳は今何歳ですか?
(2年までの誤差は正解)
→ 正解は1点 不正解は0点で計算します。
質問(2)今日は何年の何月何日ですか?
→ 年・月・日・曜日とそれぞれ正解ごとに1点加算します。
質問(3)今、あなたがいる場所はどこですか?
→ ヒント無く、自発的に正解できれば2点。5秒の間を空けて、家ですか?病院ですか?それとも施設ですか?とヒントを与えた後、その中から正しい選択をすれば1点を加算します。
質問(4)「これから言う,3つの言葉を言ってみてください。」「あとでまた聞きますのでよく覚えていてください。」と質問する。
以下に記した言葉はあくまで参考です。もっと簡単な単語でもかまいません。ここで覚えてもらった単語を、あとでもう一度聞き返し、覚えているかを確認します。
例 → 1)車 2)野菜 3)桜 4)犬
質問(5)「引き算で、100から7を引いてください。」※100ー7が答えられたら、その数字からまた「7を引いてください」と正解できるまで続けてください。
→ 「100 – 7は?それからまた7を引くと?」と質問してください。最初の答が不正解だったらそこで終了にしてください。正解は1点 不正解は0点で計算します。
質問(6)「私がこれから言う数字を逆から言ってください。」
→「6-8-2,3-5-2-9を逆に答えてもらいます。初めの3桁の数字を逆に答えられなかったら質問は終了にしてください。6‐8‐2を逆に答えられたら1点。続けて、3-5-2-9も答えられたら、もう1点追加してください。
質問(7)先ほど(質問4)覚えてもらった言葉を覚えていますか?ゆっくりでよいので思い出してみて、もう一度言ってみてください。
→ こちらからのヒントがなくても、自発的に回答できれば各2点の加算。もしも回答がなかったら、以下のヒントを与えてあげて、それで正解であれば1点加算します。
質問(8)「これから5つの品物を出して見てもらいます。見てもらったら、次はそれを隠します。隠した後に、見てもらったものを質問しますので、ゆっくりと思い出して答えてください。
→ 見せて、隠すものは、「時計、鍵、手帳、ペン、硬貨」など必ず、お互いが無関係なものを選んでください。1つ正解できるごとに1点ずつ加算してください。5つすべて正解できれば5点加算してください。
質問(9)「今から、知っている野菜の名前をできるだけ多く言ってみてください。」
→ 答えられた野菜の名前をメモ用紙に記入してください。途中で回答に詰まってしまい、約10秒待っても答えが出ない場合はそこで質問をうち切ってください。回答できた野菜の数が、「0個~5個」なら0点。「6個」なら1点加算。「7個」なら2点加算。「8個」なら3点加算「9個」なら4点加算。「10個」なら5点加算してください。
以上、9つのテスト内容をおこなった結果、30点満点中、20点以下の結果が出た場合に認知症の疑いがあると言われています。テストの結果も踏まえ、物忘れなどの症状が進まないうちに、ご自宅近隣にある「認知症の専門医」へ受診することをおすすめします。
※ご自宅の近所にある全国の認知症専門外来(ものわすれ外来)を、探すことができるホームページをご紹介します。
全国もの忘れ外来一覧
また「改訂長谷川式簡易知能評価スケール」の評価方法について、詳しく解説している文献を以下にご紹介します。
※「改訂長谷川式簡易知能評価スケール」(HDS-R)の使い方
認知症の検査とは?
先ほどの章までは、「認知症テスト」についてどのような症状があらわれたら、認知症テストをおこなったほうがよ
いのか、また、どのような状態であれば、認知症テストをおこなわなくとも、しばらく様子をみても大丈夫なのか。認知症テストの内容などについて解説してきました。また、その、認知症テストでは、テストの結果によって、認知症の専門医への受診が必要になる場合もあります。
先ほどから、何度かお伝えしていますが、認知症は早期発見と早期の対応がとても大事です。
症状が進まないうちに、認知症の発症の初期に、症状をおさえるための対応や、症状の改善を試みることが、後の介護への負担軽減にもつながります。
そのためにも、認知症テストをおこない、結果、専門医への受診が必要となった場合には、できるだけはやめに、「認知症の検査」をおこなうことが大切です。
では、ここからは、認知症検査では、どのような検査がおこなわれるのか、実際におこなわれる検査の内容や、どのような検査結果が出ると、認知症と診断されるのかなどについて解説していこうと思います。
認知症検査ではどのような検査をするの?
では、ここからは、認知症の検査ではどのような検査がおこなわれるのか、検査の内容などについて解説していこう思います。
まず、はじめに、医師による診察がおこなわれます
1)起床時間・就寝時間(眠りの浅い深いも確認されます)
2)食事の量(回数も確認されます)
3)排泄の状況(失禁の有無などを確認されるときもあります)
4)物忘れの有無(ご家族に確認されるケースもあるようです)
5)介護の有無(生活の中で困っていることの有無を確認されることもあるようです)
6)ご家族への聞き取り(ご家族の悩みや困りごとなどへの聞き取り)
以上のような聞き取りなどの内容が多いようです。
血圧の測定などがおこなわれます
ご本人、ご家族を交えての問診の次は、身体状況や病歴を確認するために、血圧測定や血液検査、尿検査、検便などの検査がおこなわれます。
こういった一般的な検査の目的は、認知症を発症する原因となりかねない「合併症」や「生活習慣病」の有無を確かめる目的や、今後、認知症の原因となる病気を発症する可能性の有無を確かめる目的もあるようです。
この他に、手や足のマヒの有無や、歩行状態の確認、視力、聴力の検査などもおこなわれます。
認知機能テストがおこなわれます
認知症の検査では、認知症の状態を確認し、適切な治療をおこなうために、認知機能のテストがおこなわれます。
この、「認知機能のテスト」では、先ほどもお伝えした「改訂長谷川式簡易知能評価スケール」が多くの専門医療機関で使われています。
※認知機能とは
「引用元:認知機能の見える化プロジェクト」
画像診断で脳の状態を調べます
医師との問診や、認知機能テストの結果、医師が認知症の疑いがあると診断し、脳の状態や萎縮の度合いなどを調べる必要があると判断した場合には、脳の状態を詳しく調べるために画像検査がおこなわれます。
画像検査は主に以下に記す、3つの検査がおこなわれているようです。
CT(コンピューター断層装置)
CT(コンピューター断層装置)はよく病院の検査や健康診断などで「CT検査」と呼ばれているものと同じ検査です。身体にエックス線を照射し、コンピューターで画像を処理することで、身体の内部を調べます。
認知症の診断で「CT(コンピューター断層装置)」をおこなったとき、脳全体の萎縮が見られると、
「アルツハイマー病」の疑いがあると判断されます。また、「CT(コンピューター断層装置)」では、脳内の出血の有無を発見することもできて、脳血管性認知症の原因となる「脳出血」や「クモ膜下出血」などを発見もできます。
これ以外にも、脳の外側に血液がにじみ出て、脳を徐々に圧迫する「慢性硬膜下血種」や脳の中に膿のかたまりのようなものができる「脳膿瘍」といった病気を発見もできるのがこ「CT(コンピューター断層装置)」です。
MRI(核磁気共鳴コンピューター断層装置)
「MRI(核磁気共鳴コンピューター断層装置)検査」は、X線撮影やCTのよう にX線(放射線)を使うことなく、代わりに強い磁石と電波を使い、体内の状態を断面像として画像化する画像診断検査です。
人の身体に強い磁力をあてると、金属だけではなく人間の身体の細胞を作っている分子の並び方に微妙な変化が起こります。
その分子の並び方は、水や脳、骨ではそれぞれ違っていて、その違いを利用し、撮った画像をコンピューターで計算し、断層写真にします。これが「MRI(核磁気共鳴コンピューター断層装置)」です。
先ほどお伝えした「CT(コンピューター断層装置)」と違い、「MRI(核磁気共鳴コンピューター断層装置)」では、脳の底にある「小脳」や「脳幹」といった熱い骨に囲まれていて、X線では乱れがおこり、CT(コンピューター断層装置)ではうまく画像にできない場所でも、MRI(核磁気共鳴コンピューター断層装置)ならばその個所の構造や病変をとらえることも可能だそうです。
また、「CT(コンピューター断層装置)」に比べて細かい変化がわかりやすく、「CT(コンピューター断層装置)」ではわかりにくかった小さな脳梗塞なども見つけることができるそうです。
PET(ポジトロン断層撮影)
PETとは「positron emission tomography (陽電子放出断層撮影)」 の略で、放射能を含む薬剤を用いる、核医学検査の一種です。
認知症の画像検査ではCTやMRIが脳の形を可視化するのに対し、PETでは 放射性薬剤を体内に取り込ませ、放出される放射線を特殊なカメラでとらえて「脳の働き」を画像化します。
「CT(コンピューター断層装置)」や「MRI(核磁気共鳴コンピューター断層装置)」では、頭部、胸部、腹部などと、部位に絞って画像を撮って検査をおこないますが、PET(ポジトロン断層撮影)では、全身を一度に検査できます。
PET(ポジトロン断層撮影)検査では、通常、がんや炎症を調べたり、腫瘍の大きさや場所の特定、良性・悪性の区別、転移状況や治療効果の判定、再発の診断などに利用されています。また、アルツハイマー病やてんかん、心筋梗塞を調べるのにも使われています。
脳では常時大量のブトウ糖が消費されているが、脳のPET(ポジトロン断層撮影)検査では、ブドウ糖の代謝を見ることでアルツハイマー病などの初期症状も見つけることができるようです。ただし、このPET(ポジトロン断層撮影)をおこなえる病院は現在、限られた場所になっていて、検査を希望する際には近隣の総合病院などで確認する必要があるでしょう。
認知症検査はどこの病院に行けばいいの?
ここまで、認知症検査でおこなわれる検査の内容や、検査費用などについて解説してきましたが、実際に認知症検査をおこなってもらうために、「どこにある、どの病院」に行けばよいのか、解説してみようと思います。
認知症検査の専門医がいる病院を探す
認知症検査をおこなうには、認知症の専門医が在籍している病院を探しましょう。では、その病院をそうやって探すのか、探す方法にはいくつかの方法がありますので、以下に記します。
普段お世話になっている、かかりつけ病院のお医者さんに尋ねてみる
普段お世話になっている「かかりつけのお医者さん」に、自宅から一番近いところにある「認知症の専門医」がいる病院はどこなのか、尋ねてみると良いでしょう。
かかりつけのお医者さんから紹介状などを書いてもらうと、検査がスムーズになるなどがありますので、自分でどうやって探せばよいかわからなくなったら、まず、普段お世話になっている「かかりつけのお医者さん」に尋ねてみてください。
介護の専門家に尋ねてみる
ご自宅の近所に「地域包括支援センター」という場所があります。この「地域包括支援センター」は
介護の専門家である「ケアマネジャー」社会福祉にかかわる制度などに精通した「社会福祉士」医療の専門家である「看護師」の3名が常駐している、介護保険制度で定められた「介護の総合相談窓口」です。
※地域包括支援センターとは?
「引用元:神奈川県厚木市ホームページ」
この「地域包括支援センター」では、介護の専門家である「ケアマネジャー」などが、地域福祉や医療の情報を数多く持っていますので、自宅近隣で「認知症の専門医」が在籍している病院を電話などでたずねてみても良いでしょう。
※自宅の近くの地域包括支援センターを探してみる。
「引用元:一般社団法人 認知症予防協会」
認知症検査の専門医をインターネットで探す
インターネットで「認知症専門医」などを探す方法もあるので、認知症専門医などが探せるホームページを以下に記しますので参考してみてください。
インターネットで「認知症専門医」などを探す方法もあり、認知症専門医などが探せるホームページを以下に記しますので参考してみてください。
1)全国の「もの忘れ外来」「認知症外来」などをご覧いただけます
「引用元:公益社団法人 認知症の人と家族の会 ホームページ」
2)高齢者のこころの病と認知症に関する専門医制度 専門医の検索
「引用元:公益社団法人 日本老年精神医学会 ホームページ」
3)日本老年精神医学会認定 こころと認知症を診断できる病院&施設
「引用元:公益社団法人 日本老年精神医学会 ホームページ」
4)日本認知症学会認定専門医
「引用元:日本認知症学会 ホームページ」
認知症テストについてまとめてみます
今回は、ここまで、「認知症テスト」について解説してきました。
認知症の予防で最も大切なことは、症状の早期発見と早期の対応です。その早期発見をするために
必要となるのが、今回お伝えしてきた「認知症テスト」です。
認知症テストをおこなうことで、テストを受けた方が、今どのような状態にあるのか、そして、認知症の症状がすでに始まっている状態なのか、それとも、もう少し様子を見ても大丈夫な状態なのか、判断できるようになります。
今回、お伝えしてきた内容が、認知症の早期発見と早期の対応をおこなうために、少しでもお役に立てれば幸いです。
最後までお付き合いくださりありがとうございました。