【目次】
- ∨まえがき
- ∨認知症と食生活の意外な関係とは・・・
- ∨認知症予防のための食事とは?専門家の意見では・・・
- ∨認知症予防に効果がある食材
- ∨認知症予防に効果がある食事の食べ方とは?
- ∨脳の健康を維持するための食生活のちょっとしたコツ
- ∨認知症の原因となる‟脳のゴミ”をためないための食生活改善方法とは
- ∨認知症予防と脳の健康についてまとめてみます。
まえがき
昨今、認知症の予防について、さまざまな情報が、多くのメディアで取り上げられ、また注目もされています。
症状の緩和や軽減に効果を認められた新しい治療方法や在宅診療において効果が認められた新しい内服薬。脳の働きに効果的と言われる運動方法やリハビリテーション。など、認知症の予防に関して、多く注目されています。
このように、認知症予防に効果が認められているものにもさまざまなものがありますが、私たちのもっと身近に、認知症の予防に効果があるものをご存じでしょうか?
それは、食生活です。
認知症と食生活との関連が取り上げられたのは、今になってでは無く、過去においても、食生活が認知症の予防や発症の原因にもなることは多くの学術研究などでも取り上げられてきました。過去にはこのような研究結果もありましたので、以下に記してみます。
アルツハイマー病の発症に食習慣が深く関係していることを、自治医科大学大宮医療センターの植木彰教授らの研究チームが疫学調査で突き止めました。
植木彰教授らの研究チームは、アルツハイマー病患者51名と、同年齢の健康な人の食べている「食事の中身」を分析するという調査をおこなったところ、アルツハイマー病患者の多くが、脂肪酸などの摂取バランスが崩れているという研究結果が出たそうです。
さらに研究の結果、男性のアルツハイマー病患者は、摂取するエネルギー量が健康な人に比べ3割ほど多く、穀物や肉類、植物油の摂取が特に目立ったそうです。その一方で、女性のアルツハイマー病患者は、1日に必要なエネルギー量が不足していて、特に、海藻や緑黄色野菜の摂取量が非常に少ない結果が出たそうです。
また、男女のアルツハイマー病患者に共通した傾向として、青魚に多く含まれている「不飽和脂肪酸」である、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)の摂取割合が低いという結果もでたそうです。
この結果から、研究をおこなった植木教授は「1日80gの青魚と1日最低2回の緑黄色野菜を取ることが、認知症の予防には大切」と指摘しています。
このような研究結果があるように、なぜ、昨今、このように認知症予防への注目が高まっているのでしょうか?
それは、今、私たちの住んでいる日本の社会構造に深く関連しています。
今現在、私たちの住んでいる日本の総人口は、平成20年に増加のピークを迎えましたが、その後は、継続して人口の減少を続けています。その後、平成29年9月の推計では、総人口が1億2671万人で、前年の平成28年と比較すると、21万人の減少となりました。
その一方で、65歳以上の高齢者人口は、昭和25年以降、一貫して増加しており、平成24年には総人口に占める高齢者人口の割合が、3000万人を越えました。その後も総人口の減少に反して、高齢者人口の増加は続き、平成29年には、総人口に占める高齢者の割合が、27.7%となり、日本の総人口の5人に1人強が高齢者となりました。
このように、総人口の減少に対して、高齢者の人口は増加を続けていくという、「少子高齢化」や「超高齢者社会」が社会問題となっていく中、注目を浴びているのが、認知症高齢者の増加という問題です。
平成24年では、65歳以上の認知症高齢者数は462万人で、65歳以上の高齢者の約7人に1人でしたが、平成37年(2025年)には、約5人に1人が認知症高齢者になるという推計もあります。
高齢者人口の増加、そして認知症高齢者の増加は、私たちが住んでいる日本にとって、大きな課題ともなっていて、認知症の予防への取り組みは、国も積極的におこなっており、代表的なものとしては認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)という施策があります。
※引用元:厚生労働省ホームページ 認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)
このように認知症予防への注目が高まっている中、今回は、認知症予防に効果がある食生活や、食事、そして、認知症を予防するためにとても大切になる、「脳の健康」を維持するためには、普段からどのような食生活を送ればよいのか、などについて解説していこうと思います。
認知症と食生活の意外な関係とは・・・
先ほどの「まえがき」では、今後、高齢者人口の増加によって、認知症高齢者の増加が大きな課題となっていること。そして、高齢者の増加とともに、認知症予防への取り組みが大きな注目を浴びていることについてお伝えしました。
また、認知症予防の研究が、たくさんの研究機関や有識者の間で進められていて、その研究の中には、認知症の発症と予防に食生活が深く関係しているという研究結果があることもお伝えしました。
アメリカにある、「ラッシュ大学医療センター」という場所でおこなわれた研究によると、日々の食事において「マインド食」と呼ばれている食事を取っている人は、この「マインド食」を取っていない人に比べてアルツハイマー病を発症するリスクが53%低下したという研究結果が出たそうです。
この「マインド食」とは、「ラッシュ大学医療センター」研究者らが、アルツハイマー病の発症リスクを低下させるとして発表した食事法で、最近では日本でもよく知られるようになった、「地中海式食事法」と、「DASH」(高血圧改善のための食事法アプローチ)の2つを組み合わせた食事法です。
※地中海式食事法とは?
【引用元:カナダでのんびり海外ライフ 日本から海外へ飛び出してみよう! 」
この「マインド食」では、10種類の摂取すべき食品を毎日必ず摂取し、それと相対した5種類の摂取すべきでない
食品を必ず避けること。これが「マインド食」の基本です。
「引用元:認知症を予防する食べ物とMIND食を実践するための5つの提案」
摂取すべき10種類の食品
1)緑黄色野菜を始めとする野菜類
2)根菜類
3)ナッツ類
4)豆類
5)ベリー
6)魚
7)全粒穀物
8)オリーブオイル
9)鶏肉
10)ワイン
摂取すべきでない5種類の食品
1)赤身の肉
2)チーズ
3)バターとマーガリン
4)パン菓子などのスイーツ
5)揚げ物などのファストフード
肉やチーズ、バターなどの脂質が多いものは避け、緑黄色野菜や穀物類に多く含まれる、食物繊維やビタミン、ミネラル
魚に多く含まれる、DHAやEPAなどを積極的に取ることで、脳の認知機能の低下を予防できるといった研究結果もあるようです。
このように、昨今、認知症と食事の関係性について研究がされていますが、
認知症の発症や発症の原因に、私たちが日々口にしている食事がどのように関係しているのでしょうか・・・
認知症予防のための食事とは?専門家の意見では・・・
この前の章では、認知症の発症や予防に、食生活が影響を及ぼすことについてお伝えしました。この認知症と食事との関連性については、過去において、数多くの研究がされていて、また、研究の結果、認知症予防に効果的であると認められる食材も数多くあることがわかってきています。
では、認知症を予防するためには、どのような食事を取ればよいのか、どのような食材を選べばよいのか、専門家からの意見や研究結果などもご紹介しながら解説していこうと思います。
認知症予防に効果がある食材
では、ここからは、認知症予防に効果があると言われている食材について解説していこうと思います。
食事から取れる栄養素が認知症予防に影響することは多くの研究結果などでも明らかになっています。例えば、青魚に多く含まれている「EPA(エイコサペンタエン酸)」や「DHA(ドコサヘキサエン酸)」といった「多価不飽和脂肪酸」も認知症予防に効果的であると言われています。
※多価不飽和脂肪酸とは?
「引用元:みつばち健康科学研究所」
この他にも、野菜や果物に多く含まれている「ポリフェノール」やお茶に多く含まれている「カテキン」といった「抗酸化物質」も、身体の老化を予防し、認知症発症の原因と言われている「アミロイドβタンパク質」が脳内に蓄積するのを抑制する効果があることもわかってきています。
※アミロイドβタンパク質とは?
「引用元:一般社団法人 認知症予防協会」
さらに、「コショウ」や「ターメリック」「唐辛子」や「生姜」といった香辛料にも、「アミロイドβタンパク質」が脳内に蓄積するのを抑制する効果が確認されています。
この他にも、認知症予防に効果があると言われている食材が数多く存在していますので、以下でご紹介します。
青魚は脳の健康にとても良い!
※多価不飽和脂肪酸とは?
「引用元:みつばち健康科学研究所」
青魚に含まれている「EPA」や「DHA」といった「多価不飽和脂肪酸」には、血液をサラサラにする作用があり、血液中に含まれる酸素など、脳に必要となる栄養分を十分に送り込める血管を作ります。脳に十分な栄養素や酸素が送られることが認知症の予防に効果があると言われています。
牛乳には認知機能の低下を防ぐ効果がある!
九州大学が福岡県久山町の60歳~79歳の男女1006名を対象に、1998年から2005年までおこなった調査(久山町研究)では、牛乳を毎日飲んでいた高齢者は、牛乳を飲まない高齢者に比べ、認知症を発症するリスクが半分ぐらいだったという結論が出たそうです。
これは、牛乳に含まれる「マグネシウム」や「カルシウム」などが認知機能の低下を抑制しているとの研究も海外では多数あるそうです。また、欧米人に比べて日本人は脂質の摂取量が少ないと言われており、脂質を多く含む牛乳を飲むことは認知症の予防においても有益であると言われています。
緑黄色野菜・豆類・果実は認知症の予防に効果がある!
ほうれん草、小松菜、菜の花などの「緑黄色野菜」や、納豆、枝豆、空豆などの「豆類」いちご、キウイ、オレンジなどの果実類には「葉酸」が多く含まれています。
この「葉酸」はビタミンB群の一種であり、不足すると肝臓で作られる悪玉アミノ酸の1種である「ホモシステイン」という物質が増えます。この「ホモシステイン」は動脈硬化を進行させるほかに、アルツハイマー病の原因となるアミロイドβの作用を強めます。
また、血液中のホモシステインが増えると、認知症だけでなく、脳血管疾患を招くこともあり、脳血管性認知症を発症する原因ともなります。この「葉酸」を積極的に摂取する事で、アルツハイマー病の原因となるアミロイドβの作用を強める「ホモシテイン」を減らすことができ、認知症の予防に効果が期待できます。
抗酸化物質を多く含む食材は身体の老化を予防します。
果物やワインなどに多く含まれている「ポリフェノール」お茶に多く含まれている「カテキン」などは、「抗酸化物質」と言われていて、身体の酸化(老化)を予防する効果があると言われています。
また、認知症発症の原因とも言われている「アミロイドβ」が脳に蓄積することを抑制する効果もあると言われています。この「抗酸化物質」は、老化を促進する体内の酸化物質の発生をおさえ、間接的に認知症の予防へ効果を表すとも言われています。
地中海式の食事を食べる人は認知症の発症が少ないそうです。
地中海料理とは、「イタリア」「ギリシャ」「スペイン」などの地中海沿岸の諸国の人々が、つね日頃食べている伝統的な料理のことを言います。そして、地中海式の食事とは、その地中海料理を食べる伝統的な食事方法のことを言います。
この「地中海式の食事」は地中海に面したさまざまな国で食べられていますが、特徴として、「6つの共通点」があると言われています。その「6つの共通点」とは以下の6つと言われています。
1)オリーブオイル、ナッツ、豆類、ナッツ類、全粒粉など未精製の穀物をよく使った料理である。
2)季節の果物や野菜を豊富に食べる。
3)魚を好んで食べ、肉類は控えめにする。
4)チーズとヨーグルトは適量を食べる。
5)食事と一緒に適量の赤ワインを飲む。
6)卵、デザートなどは控えめにする。
赤ワインを飲む。チーズやヨーグルトを適量食べる。など、高齢者の方には、なじみが浅い食材が多いかもしれませんが、肉類を控え、魚を多く食べることは、青魚に含まれる「EPA」や「DHA」といった「多価不飽和脂肪酸」には、血液をサラサラにする作用がありますし、緑黄色野菜に含まれる「葉酸」には、動脈硬化を進行させるほかに、アルツハイマー病の原因となるアミロイドβの作用を強める効果があると言われています。
この地域住民の食生活を研究した調査結果では、「地中海式の食事」を取る人に認知症の発症が少ないことも明らかになっているそうです。
認知症予防に効果がある食事の食べ方とは?
では、先の章では、認知症予防に効果があると言われている「食材」についてお伝えしてきましたが、ここでは、認知症に効果があると言われている食材を使って、どのように食べればさらに認知症予防の効果をあげることができるのか、認知症予防に効果がある食事の食べ方はどのようなものなのか、解説してみようと思います。
アルツハイマー病の発症を低下させる食事法
アメリカのシカゴにある「ラッシュ大学メディカルセンター」と言う研究機関の研究者らが、アルツハイマー型認知症の発症リスクを低下させるとして発表した食事法に「マインド食(マインドダイエット)」というものがあります。
これは、先ほど、この前の章でお伝えした、地中海沿岸の諸国の方々が常日ごろ食べられている「地中海式の食事」と、アメリカ国立衛生研究所で考案された「DASH(高血圧改善のための食事アプローチ)」と言う2つを組み合わせた食事法です。
この「マインド食(マインドダイエット)」という食事法ですが、食事の内容としてはいたってシンプルなものとなっていて、10種類の健康に良いと言われている食品を積極的に摂取し、5種類の健康に悪いと言われている食品を取らないようにするというものです。
積極的に摂取して良い食品と、取らないようにする食品を以下に記してみますので参考にしてみてください。
積極的に摂取して良い食品
1)全粒穀物(1日3回以上摂取が望ましい)
※全粒穀物とは、主に玄米、玄米を発芽させた発芽玄米、麦、全粒粉の小麦を使った食品、
オートミール、挽きぐるみのソバなどがある。
※「引用元: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)」
2)緑の葉物野菜(週に6回以上の摂取が望ましい)
3)その他の野菜(1日1回以上の摂取が望ましい)
4)ブルーベリー(週に2回以上の摂取が望ましい)
5)魚類(週に1回以上の摂取が望ましい)
6)鶏肉(週に2回以上の摂取が望ましい)
7)豆類(週に3回以上の摂取が望ましい)
8)ナッツ類(週に5回以上の摂取が望ましい)
9)オリーブオイル(日常的に油として使う)
10)ワイン(1日に1回、グラスに1杯程度)
以上、10項目の食材を適度に組み合わせる食事法を「マインド食(マインドダイエット)」と言います。
では次は、できるだけ、取らないほうが良い食品を以下に記載してみます。
できるだけ取らないようにしたほうが良い食品
1)赤身肉や豚肉など(週に4回以下の摂取が望ましい)
2)ファストフードや揚げ物(週に1回未満が望ましい)
3)バターやマーガリン(1日に大さじ1杯未満)
4)チーズ(週に1回未満が望ましい)
5)菓子パン・ケーキなどのスイーツ(週に5回未満)
以上、菓子パンやスイーツなどの糖質を制限することや、赤身肉や豚肉などに多く含まれる脂質を控えるなど、動脈硬化などの原因となる動物性脂肪などを避けることが認知症発症の予防にもなるとの指摘もあるようです。
このように、「マインド食(マインドダイエット)」では、動脈硬化や糖尿病といった、生活習慣病の原因となる食材はできるだけ控え、血液の循環に効果がある、魚や野菜、穀物を多く取ることで、動脈硬化や脳血管疾患と言った、認知症発症の原因となるリスクを低下させるといった研究結果も出ているようです。
和食が認知症の予防に効果がある!
私たち日本人にとってなじみの深い食材である、魚や野菜を多く使う代表的な調理方法に「和食」があります。
この「和食」ですが、先ほどお伝えした「マインド食(マインドダイエット)」と多くの点で共通点があります。
まず、1つ目の共通点として、「青魚を含めた魚料理(できる限り生に近い形で)」が多いことがあげられます。そして、2つ目の共通点としては、脂質を含む、肉料理は少なく、野菜を使った煮物料理などが多いこと。この2つがあげられます。ただし、共通点が多いこの2つの料理法ですが、1つだけ注意してほしい点があります。それは、米飯の取りすぎには注意が必要と言うことです。
お米には糖質が多く含まれており、糖尿病の発症が認知症の原因ともなる場合もありますので、お米を食べる場合には、玄米などを取るようにすることが望ましいとの研究結果もあるようです。また、「和食」と「マインド食」の大きな違いに、「塩分の使用量」があります。
素材の味を生かすのが和食の良さでもありますが、課題として塩分使用量の多さもあげられます。
素材の多くには、「マインド食(マインドダイエット)」と共通するものが多く、認知症予防に効果が認められるものも多いですから、料理の際に、できるだけ塩分を控える。お米を少なめにし(1日1回の摂取が望ましいようです)、できるだけ玄米を食べるなど、少しの工夫を加えることで、認知症予防にも効果が得られるようです。
脳の健康を維持するための食生活のちょっとしたコツ
先の章では、認知症の予防に効果があるといわれている食材や食事、そして、なぜその食材が認知症の予防に効果的であるのかなどを、専門家の研究結果なども交えて解説してみました
日々、私たちが何気なく口にしている食材の中には、脳の健康を維持するために、とても効果がある食材がたくさんあります。そして、その食材を使って、食生活に少し工夫を加えるだけで、認知症予防に効果を得ることもできます。では、どのような食材が脳の健康に効果があり、どのような食生活が認知症の予防に効果があるのか、解説してみようと思います。
納豆を食べると、脳の衰えを防ぐことができます。
日本の朝ご飯には欠かせないものの1つに「納豆」があります。この「納豆」、たくさんのご家庭で、朝の食卓に並ぶことも多い食材の1つではないかと思います。
その「納豆」の代名詞といえば、あの「ネバネバ」ですが、このネバネバに含まれている「ナットウキナーゼ」は、あらゆる食品に含まれる成分の中でも
最強の「血栓溶解酵素」と言われています。
この「血栓溶解酵素」には血栓を溶かす作用があることが証明されていて、高血圧症や脳血栓といった、血管が詰まってしまうことが原因となって起こる「脳血管性認知症」の予防に大きな効果が認められています。
さらに、納豆の原料である「大豆」に含まれている脂肪分の「大豆レシチン」は神経伝達物質である「アセチルコリン」の原料です。
※神経伝達物質 アセチルコリンとは?
「引用元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』」
認知症を発症すると、この「アセチルコリン」が脳内で減少し、記憶障がいなどの症状が出ると言われていて、昨今、認知症の改善薬などは、「アセチルコリン」を増やすことを目的としています。また、納豆には、「レシチン」や「ビタミンK」などの成分も豊富に含まれていて、これらの成分は、脳を活性化させるのにとても効果的であると言われています。
このように、納豆には、脳を活性化する成分や、高血圧や認知症の原因ともなる、「血栓」を溶かす作用がある成分を含んでおり、脳の健康に欠かせない成分を多く含んでいます。
果汁100%ジュースを飲むと記憶力が改善するそうです。
過去に実施されたある調査によると、果物を積極的に食べている人や、野菜のジュースを多く飲んでいる人は、ジュースを飲んでいない、または、果物を食べる習慣があまりない人に比べて、アルツハイマー病になる可能性が70%以上も高いという結果が出たそうです。
野菜ジュースでも特に効果が高いと言われているのが、100%野菜ジュースと言われていて、その中でも、「ザクロ」や「ブルーベリー」などを含んだジュースは高い効果があるとも言われています。
ブルーベリーに含まれている「フラボノイド」は、記憶力や認識機能の強化を図る効果があると言われていて、記憶力を悪化させる可能性がある物質である「フリーラジカル」から脳を守る効果もあると言われています。
※フラボノイドとは?
「引用元:一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 ホームページ」
多くの研究で実証されているブルーベリーが持っている、脳への健康効果は、動物実験をおこなったところ、ブルーベリーの抽出物を与えられた動物は運動能力の低下が少なく、記憶力テストでの結果も優れていたとの結果もあったそうです。
このように、ブルーベリーの持っている成分には、老化に伴う記憶力や運動能力の低下を食い止める作用があるという研究結果もあります。また、脳卒中に関連する動脈血栓の予防に役立つ「サリチリ酸」と言う成分も含まれていて、この成分は、さまさまな脳疾患の引き金になる炎症を取り除く作用もあるそうです。
その他にも、「ザクロ」のジュースをマウスに与える実験をおこなったところ、アルツハイマー病の原因物質と言われている「アミロイドβ」の脳内での蓄積が通常の半分程度に抑えられたとの報告もあります。
このように、野菜ジュースや果物には、認知症の原因となる物質を抑える効果や、脳の健康を保つ効果があると言われています。食事の際などに、100%ジュースを1杯加えるだけで脳の健康維持に役立つでしょう。
カレーのスパイスが認知症予防に効果あり!
インド人にはアルツハイマー病の人が少ないと言われています。
70歳代のインド人のアルツハイマー病の発症率は、同年代のアメリカ人に比べて、4.4倍も低いとも言われていて、その理由は、インドの代表的料理であり、私たち日本人にもなじみの深い食べ物である「カレー」と言われています。
カレーの色が黄色いのはなぜだと思いますか?それは、カレーのスパイスに含まれている「ウコン(ターメリック)」の色です。この「ウコン(ターメリック)」に含まれている「クルクミン」が認知症の予防に効果を発揮するとも言われています。
このカレーが黄色である原因となる「ウコン」に含まれている「クルクミン」には、抗酸化作用という働きがあり、この働きは、アルツハイマー病の原因となる「アミロイドβ」が脳内に蓄積するのを予防する効果があると言われています。
これがインド人にアルツハイマー病の人が少ない原因ではないかとも言われていて、「クルクミン」にはアルツハイマー病の原因となる「アミロイドβ」が脳内に蓄積するのを予防するだけではなく、アミロイドβが集まってできる「老人班」を分解する働きがあるとも言われています。
この「老人班」は脳内にシミのように形成され、脳の神経細胞を圧迫し、やがて圧迫した脳細胞を死滅させてしまいます。
この脳細胞が死滅する範囲や速度によって、アルツハイマー病の症状の出方も変わってきて、脳細胞の死滅が小範囲であれば、簡単な物忘れ程度で治まるかもしれませんが、細胞が死滅する範囲が広がると、あらわれる症状も重症化する恐れもあります。
このように、カレーのスパイスに含まれている「ウコン(ターメリック)」は、食生活から認知症の原因を予防し、脳の健康維持にとても効果がある食べ物です。
ただし、同じカレーであっても、カレーの黄色の元となるウコンを含まない「グリーンカレー」や「レッドカレー」などにはウコンが含まれないので、認知症予防や脳の健康維持には効果が認められないので注意が必要です。
私たちにとって、お馴染みになっている食べ物である「カレー」ですが、この機会に少し意識して食べる機会を増やしてみるのも良いかもしれません。
認知症の原因となる‟脳のゴミ”をためないための食生活改善方法とは
アルツハイマー型認知症を発病する原因が「脳にたまるゴミ」であると、先ほどの章でもお伝えしましたが、ここで再度、この「脳にたまるゴミ」について解説してみようと思います。
この「脳にたまるゴミ」は、「アミロイドβ(ベータ)」と呼ばれていて、ベトベトした粘着性のタンパク質でできています。
この「アミロイドβ(ベータ)」は、脳が何かしらの情報伝達を行う過程で生み出される物質で、健康な脳であれば、不要になった部分は「ゴミ」として分解され、脳の血管を通して体外に排出される仕組みになっています。しかし、排出が上手くできなかった時屋、この物質の分泌が過剰になると、やがて、脳内の「アミロイドβ(ベータ)」同士が結合し、どんどん大きくなっていきます。大きくなった「アミロイドβ(ベータ)」は、脳の表面に「シミ」となってたまり始めます。このたまった「シミ」はやがて強力な神経毒と言うものを脳内に放つようになり、正常な脳細胞を破壊します。
※アミロイドβが生成される仕組み
このようにして、「アミロイドβ(ベータ)」通称「脳のゴミ」は、認知症の代表的な病気である「アルツハイマー型認知症」を発病する原因となるのです。
※「アミロイドβ」と認知症の関連について、この記事で解説しています。
では、ここからは、この「アルツハイマー型認知症」を発病する原因の1つとなる「脳のゴミ」をためないためにはどのような食生活をすればよいのか、脳のゴミがたまるのを予防するためには、日々の食生活をどのように改善すればよいのか、解説してみようと思います。
※アルツハイマー型認知症について、この記事で詳しく解説しています。
脳を柔らかくできる‟あの食材”を毎日食べてみましょう。
認知症を予防できる食材として今、最も注目されている1つに「大豆」があります。
先の章で、「納豆」について解説した時、「納豆」に含まれている「ナットウキナーゼ」という成分が、血管を詰まらせる原因となる「血栓」を溶かす作用を持っていて、高血圧や脳血栓といった、「脳血管性認知症」の予防に大きな効果があることをお伝えしました。
この、「納豆」を作る材料となるのが、みな様おなじみの食材である、あの「大豆」です。
この「大豆」ですが、「脳のゴミ」がたまりにくくなる働きを持つ、認知症予防に効果がある成分を多く含んでいます。その成分は「ホスファチジルセリン」という名前で、この成分は特に脳の神経細胞に多く含まれていて、アルツハイマー型認知症にも深いかかわりがあることも判明しています。
ではなぜ、この「ホスファチジルセリン」がアルツハイマー型認知症と深い関りがあるのか、それは、この成分に脳の「細胞膜(さいほうまく)」と言う場所を柔らかく保つ働きがあるからです。
この「細胞膜(さいほうまく)」は、脳に有害な物質が脳に入ってくるのを防ぐ、フィルターのような役割と、脳内に入った有画な物質を排出する役割を持っています。しかし、この「細胞膜(さいほうまく)」は年月とともに硬くなってしまい、徐々に脳のフィルターとしての役割をうまく果たせなくなっていきます。また、フィルターとしての役割を果たせなくなるとともに、脳内にたまった有害な物質を排出する働きも衰えてしまいます。
先ほど、アルツハイマー型認知症を発病する原因の1つに、脳内に「脳のゴミ」である「アミロイドβ(ベータ)」があるとお伝えしましたが、この「細胞膜(さいほうまく)」が硬くなると、「脳のゴミ」を排出する機能が衰え、脳内に「ゴミ」がたまる原因になります。
この、脳の「ゴミ」をしっかりと排出するためには、この「細胞膜(さいほうまく)」を柔らかく保つことがとても大事になるのです。そのためにも、「細胞膜(さいほうまく)」と言う場所を柔らかく保つ働きがある「ホスファチジルセリン」を多く含む食材である、「大豆」もしくは「大豆」を使った食材を多く取ることが脳を健康に保ち、認知症予防することにもつながります。
大豆を使った食材の代表的なものには、「豆腐」や「納豆」「味噌」など、私たち日本人にはなじみの深いものが多くありますので、ぜひ意識して「大豆」を取り入れるようにすると良いでしょう。
脳の老化を防ぐ今日からできる簡単な食生活とは?
誰でも年齢を重ねるごとに平等に訪れる身体の症状があります。それは「老化」です。
この「老化」ですが、年齢と共に身体がどのようになるのか、どのような症状があらわれるのか?意外と正確に答えられる人はいないのもこの「老化」です。
実はこの「老化」は、私たちの身体の細胞が「錆びていく」ことによって引き起こされ、これを「酸化」と言います。鉄などの金属が赤く錆びることも同じように「酸化」と呼ばれています。
このように、誰でも年齢を重ねるごとに平等に身体が錆びてくるのですが、実は、この身体の錆びを防ぐ物質も、年齢や性別に関係なく、誰にでも平等に備わっているのです。この、身体の錆びを防ぐ物質が「抗酸化酵素」です。
※「抗酸化酵素」とは?
「引用元:サロン・ド・クレモナ ~川西エステ&マナーサロン」
この「抗酸化酵素」ですが、40歳代を超えるころから、徐々に減少していきます。減少とともに、私たちの身体も酸化(老化)が進んでいくこととなり、肌がかさつく、白髪が増えるなど、外見に衰えが見えるようになるのもこの「酸化(老化)」のためです。
この「酸化(老化)」によって私たちは、外見だけではなく「脳」も「老化」します。この脳の老化を防ぐために最も有効で、誰でも簡単に生活の中に取り入れることのできる方法が「食生活の改善」なのです。
ここで、ぜひとも毎日の食生活に加えて欲しい食材があります。それは「玄米」です。
「玄米」に含まれる成分に「フェルラ酸」という成分があります。この成分は、植物を酸化から守る機能を持っていて、私たちの体内に入ると、私たちの身体の錆びを防ぐ物質である「抗酸化物質」として作用します。
毎日の食生活の中にこの「玄米」を取り入れるだけで、脳の老化の原因である「酸化(老化」の予防になり、認知症の予防効果も期待できます。ぜひ、毎日の食生活に取り入れてみてください。
認知症予防と脳の健康についてまとめてみます。
今回はここまで、「脳の健康」や「認知症予防」に効果が認められた「食生活」や「食材」などについて、専門家の研究結果なども交えながら、どのような効果があるのか、どのような予防ができるのか解説してきました。
「脳の健康」や「認知症予防」などと聞くと、何か運動をしなければいけないのか、もしくは、食事やサプリメントなど今までとは違う、特別なことを取り入れ無ければいけないのか、このように思う方もいるかもしれません。
ですが、今回お伝えしてきた内容は、私たち日本人であれば誰にでもなじみのある食材が、認知症の予防や脳の健康に効果を持っていること。そして日々、何気なく食べている食事に、ひと手間加えるだけで、これも脳の健康に効果があり、認知症予防への効果も期待できるものがたくさんあるということをお伝えしてきました。
私たち日本人の食事は、もともと、魚や野菜が中心の、低たんぱく、低コレステロール食が中心となっていました。昨今、食事の西欧化が進んだとは言え、素材を生かし、できるだけシンプルである「和食」は、脳の健康にも認知症の予防にも効果的であることが、今回お伝えしてきた内容で少しでもご理解はいただけた思います。
今回、ここまでお伝えしてきた内容が、読んでくださった方の、「脳の健康」や「認知症予防」に少しでもお役に立てれば幸いです。
ここまでお付き合いくださりありがとうございました。